第24回 2020年シーズンサンテレビボックス席の裏② ~7月2日 中日vs阪神~

阪神 0 0 2 0 0 0 0 0 0 2
中日 3 0 0 0 0 0 0 1 x 4

7月2日の中継車Dは私が務めさせていただきました。前回のコラムでも書きましたとおり、「It’s 勝笑 Time!」というチームスローガンを掲げるタイガースが、3連敗という苦しい状況の中どういう表情をベンチの監督・コーチや選手がしているのか、ということをフィーチャーしようと考えていました。

もう一点考えていたことは、サンテレビで無観客試合の中継をするということがそんなに無いため(※7月10日から5000名のお客様を入れて試合を行うことが決定していた)、無観客の中で良く聞こえる打球の音や、一球ごとにベンチから聞こえる選手たちの声を中継で聞くことができれば、と思っていました。ドーム球場ということもあり、一番音が響く環境の中、どういう音が聞こえるのかを視聴者の方々に伝えられれば…ということをスタッフの打ち合わせで話しました。

そうすると、音声さんがいつもとは違うところにマイクを置いてくれました。試合ではベンチの選手たちの自チームを励ます声がいつもより大きく聞こえました。打ち合わせではどうしても「こういう映像を撮りたい」とかカメラさんとの打ち合わせに終始しがちですが、こういう音声さんとのやりとりもあらためて重要だと感じましたし、本当に心強いと思っています。

試合は…タイガース目線で見ると残念な試合でした。1回ウラにビシエド選手に3ランを打たれ、結果としてはこの3点が効いたという試合になってしまいました。途中、ガルシア投手がマウンドから酸欠状態になり降りるアクシデントもありましたが、なんとか先発の役割を発揮してくれた、というシーンもありました。

ベンチの様子は…すごく暗い印象でした。点数の取られ方も正直いいものではなかったかもしれませんが、矢野監督やベンチの選手たちから笑顔は完全に消えていました。こういうときの表情を映すのは私の立場ではとても苦しいのですが、この辛い時期を何とか乗り越えてくれれば…頑張ってほしいと思ってタイガースベンチを映しました。

自分なんかにはわからないくらい苦しい状況であったと思います。最終回のタイガースの攻撃では、近本選手が凡退し、バットをたたきつけたり、最後のバッターとなった上本選手はベースを駆け抜けたあと、しばらく膝に手をついたままうつむいたり、いつまでもベンチの中に残って話をしていたマルテ選手とガルシア選手がいたり、笑顔を映すつもりが、悔しさにあふれた選手ばかりを映していました。正直選手たちの苦しさは私みたいな者にはわかりません。ただ、ああいった姿を見ることで、「選手たちはこんなに頑張っているんだ。悔しいんだ。」というものを私自身は強く感じました。ここを乗り越えた先にその選手たちの笑顔を見られればどれだけ自分たちも笑顔になれるだろうか、ということを考えています。1年間で50試合以上の中継ができるサンテレビならではのタイガースの選手たちのドラマを中継を通してお届けできればと思っています。

次回は雨天コールド、雨による試合開始遅延、など色々あった7月10日から12日に甲子園球場で行われた阪神vs中日の3連戦からあの試合を振り返ってみたいと思います。お楽しみに!

追伸:みなさんは『サンテレビボックス席』のラテ欄(テレビ欄)をご覧になったことはありますでしょうか?毎試合の見どころなどをその日のスポーツ部担当ディレクターが短くまとめて書いております。度々話題になることが多く『サンテレビボックス席』グッズにも商品化されています。ちなみに商品化されたラテ欄の原案者は現在そのグッズを企画する部署にいます!数々の名作を残されたラテ欄職人です!

7月2日のラテ欄の文字の意味はわかっていただけましたでしょうか?無観客試合で聞こえる音を表現してみました。「うぇーい」は選手たちが一球ごとに声掛けをするときのセリフです。「ゴンッ!」はホームランがスタンドの席に当たる音を表現しています!これからもみなさんが「なんやこれ?」と笑っていただけるような楽しいものを考えられるよう精進します!

This entry was posted in コラム. Bookmark the permalink.