第25回 2020年シーズンサンテレビボックス席の裏③ ~7月11日 阪神vsDeNA~

DeNA 0 0 0 0 0 0 0 1 3 4
阪神 0 2 0 0 0 0 0 0 0 2

個人的な話で大変恐縮なのですが、自分が中学生や高校生のころから現在も活躍されているようなベテラン選手に私は本当にいつまでも第一線で頑張ってほしいと心から思っています。試合前の練習を観ていても、いつの間にか私が追っているのはベテランの姿です。今のタイガースでいうと、福留選手、能見投手、藤川投手といったところでしょうか。
この3選手にインタビューやスタジオにご出演していただく際には「あぁ、福留だ…能見だ…藤川球児だ…」と、仕事なので決してそういった思いを言葉や態度に表すことはありませんが(※これははっきりとそう言い切ります!)、心の中ではどうしても学生の頃のいちファンであるときのように思ってしまいます。3選手ともとても良い方ですし、インタビューの際には「なるほど…」と唸りたくなるくらい深い話を聞かせて下さるので本当にタメになります。

さて、7月11日(土)の一戦は本当に色々あった試合でした。雨のため、試合開始が18時からおよそ50分遅れました。『サンテレビボックス席』は18時から放送が始まっていますので、シートで覆われているグラウンドや、雨の降る状況を見せつつ、試合開始を待つといった感じです。こういうときの実況アナウンサーと解説者さんは色々な話をしていただきますが、「よくもこんな色々と話せるなぁ」といつも感心させられています。

たまたま前日のヒーロー2選手のインタビューと、矢野監督のインタビューのVTRもありましたので、前日の試合をインタビューを見ながら振り返っていただくこともできました。

試合がいよいよ始まるぞ、というときに場内でもタイガースのスターティングメンバ―の紹介アナウンスがあります。今年は無観客試合がそれまで続いていた、ということもあり、今年のバックスクリーンの演出なども視聴者の方々に楽しんでいただきたい、ということで、演出と場内アナウンスをリンクした映像をお届けすることができました。実況の湯浅アナウンサーからも、「あなたは今甲子園球場にいます!」と話してくれました。臨場感のある映像と音声を楽しんでいただけていれば幸いです。

西勇輝投手と今永投手の両エースの投げ合いとなった試合は、素晴らしい投手戦となりました。タイガースは2回ウラにボーア選手の2ランで先制をしますが、それ以降は得点できず、西勇輝投手も7回途中まで無失点と、緊張感のある試合となりました。

一つ裏話ですが、ボーア選手のホームランの直後、どうしてもあの「ファイアボール」のポーズを中継カメラに向けてやってほしいと思い、③カメさんに「ファイアボール」のジェスチャーをボーア選手に「こっちにお願い!」という意味でやっていただきました。ところが!まさかのファイアボールを放ったのはその前にヒットで出塁していた大山選手でした!貴重な大山選手のファイアボールを見られたのはよかったですが、カメラマンさんもびっくりしていました。

9回表、2対1で迎えた試合のマウンドにはクローザーの藤川球児投手が上がります。名球会入りとなる日米通算250セーブまであと5つ。甲子園球場のバックスクリーンにも藤川投手仕様となる特別映像が流れます。この模様も①カメさんが格好良く撮ってくれたので、その映像をお届けすることができました。
 
しかし…。1アウトから梶谷選手にフォアボール、さらに桑原選手にセンターへ運ばれるヒット、さらにこの打球をセンターの植田選手が後逸してしまい、同点に、なおも打席にはソト選手。その4球目をレフトスタンドに放り込まれてしまいました…。マウンドの藤川投手は打球の方向を見つめ続けていました。①カメさんの撮っているその表情以外に、中継車のモニターにはどのような映像が映されていたでしょうか。信頼して藤川投手を起用した矢野監督や、勝利投手の権利が消えた西勇輝投手、同点となるエラーをしてしまった植田選手などが映し出されていました。私はその中のどれかの映像も映そうかな、と思いましたがスイッチャーさんとのとっさの判断で、それ以外を映さないということにしました。とにかくこの試合を藤川投手に中継の映像では背負ってもらったというわけです。このときの藤川投手の表情は、試合から3週間以上が経った今でも忘れることができません。
 
昨年途中からクローザーに復帰し、見事活躍をした藤川投手は今季日米通算250セーブという大記録に挑んでいるわけですが、得点を許す場面も多々見られました。この試合の翌日、一軍出場選手登録を抹消されましたが、色々と本人しか分からない問題もあったのではないかと思います。このコラムを書いている現在では、一軍に復帰し中継ぎとして再びスタートを切っています。また結果を出して、クローザーに返り咲き、そして日米通算250セーブをぜひとも達成してくれれば、私を含め20年以上藤川投手を応援してきたタイガースファンにとってとても嬉しい話題となるはずです。これからの藤川投手から目が離せません!
中継を何十試合も行わせていただいていると、どの試合もターニングポイントとなりそうな試合だらけです。これからどんな試合を中継させていただけるのか、楽しみにしながら引き続き仕事に取り組んでまいりたいと思います。

次はどんな話にしようか、ちょっと考え中です…。もしかしたらプロ野球以外の話もそろそろするかもしれません。お楽しみに!

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