第23回 2020年シーズンサンテレビボックス席の裏側① ~7月1日 中日vs阪神~

阪神 0 0 1 0 0 1 0 0 1 3
中日 0 0 0 2 4 0 0 0 x 6

7月1日のナゴヤドームでの中継で幕を開けた今シーズンのサンテレビボックス席ですがこのときのタイガースは調子が悪く、2勝8敗で2連敗中。なんとか勝ってほしいという意気込みでの中継でした。1日の試合も5回を終わって1対6という展開で、守備のミスも出るなど、放送席でFDの業務をしながら観ていて「なんとかチームの雰囲気が明るくなるようなプレーが出ないかな」と思っていました。

この中継では2つポイントがあったと思っています。1つは大山選手がセンターの守備に就いたという場面です。それまで二軍の公式戦ではセンターを守った経験はありましたが、一軍の試合では初めてのセンターでの守備でした。代わった相手が近本選手だったというのも我々が驚いた要因の一つです。

ピッチャーの交代も同時にあった場面ですが、最初に大山選手がセンターへ向かったことに気づいたのはカメラマンさんでした。次に「センターに大山選手がいることをどう映像で表現するか」というのが大事になります。中継ではまず大山選手の顔が映りました。その次に①カメさんが広く球場を撮ってセンターの守備位置にいる大山選手へズームをしてくれました。これで大山選手の守備位置をわかっていただくことができました。

FDとしてもやらなければならないことがありました。それは「大山選手がセンターの守備位置に就くのは何度目か」です。実況アナウンサーも独自に資料をつけていて、データは頭に入っていますが、(湯浅アナウンサーの知識量はゆあペディアと『熱血!タイガース党』のコーナーにもなるほど豊富!)公式のデータをきちんと照らし合わせたうえでないと、間違った情報を伝えることになりかねません。一軍公式戦と二軍公式戦でのデータを即座に調べ、一軍では初めて、二軍では過去に2試合守ったことがある、ということが分かりました。これをアナウンサーに伝えて実況で視聴者の方々にお伝えすることができたわけです。やはり中継でもチームワークが必要ですね!

もう1つはボーア選手の来日第1号ホームランです。4点ビハインドで迎えた9回表の攻撃、ドラゴンズの左腕・岡田投手から初球をえげつないライナーでライトスタンドに運びました。突き刺したという表現が正しいかもしれません。
 
実はこの場面の前のCMの合間に「ボーア選手のホームラン出るかもよ」と湯浅アナウンサーが言っていました。なんの根拠で言ったのかはわかりませんが…(笑)結果としてホームランが出ました。過去にメッセンジャー投手やボーグルソン投手などの来日初ホームランを実況したことのある湯浅アナウンサーの、タイガース外国人選手来日初HR実況が一つ増えました。
 
来日初ホームランだけでなく、ボーア選手が公式戦でサウスポーから打った初ヒットということでもこのホームランは価値のあるものでした。点差のついた終盤のソロホームランだっただけに、自分が中継車Dなら岡田投手のことは忘れてボーア選手ばっかりを映してしまいそうでしたが、中継ではしっかりと岡田投手から打った、ということを印象付ける映像が撮られていました。ここは自分もあらためて認識しないといけないところです。

結果としてタイガースが敗れ3連敗、中継も負けるとあっさり終わります。私が一つ気になっていたことがこの中継ではありました。ボーア選手がホームランを打ってもタイガースベンチでは笑顔があまり見られませんでした…。スローガンは「It’s 勝笑 Time!」負けていても勝っていても常に笑顔で明るく前向きに、というチームコンセプトなのに…。

その翌日の中継車D担当だったので、次の試合ではどんな表情だったとしてもベンチにいる選手や監督の表情は映して、こういう苦しい時期でもスローガンを体現できているかを見たい、と思いました。まさかあんな展開になるとは…。
次回は7月2日の中日vs阪神でのサンテレビボックス席を振り返ります。お楽しみに!

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