和衷協同(後編)

13年ぶりの選手権となった神戸弘陵。
結果は、2回戦敗退。
沖縄・那覇西戦、0-3から1点差に追い上げる展開。
ベンチもピッチの選手も、そして応援席が一体となって戦う姿に
負けはしたが、ベンチリポートをしながら感動していた。

「応援席に行くと、もうだめなんですよ」
4年前に神戸科学技術高校で選手権に出場した
当時の主将・洞ケ瀬太一さんと副主将・古澤智也さんは、ともに口を揃える。
「負けて、悔しいと思うと同時に、あー終わったなって。整列までは涙を我慢できるんです。
でも、その後、応援席の近くに挨拶に行って、試合に出られなかった仲間の顔を見ると、もう無理です」

今回の神戸弘陵は部員121名の大所帯。メンバー外の3年生だけでも21名いる。
試合に敗れた選手たちが応援席に向かうと・・・、かつての高校サッカーの先輩と同様だった。

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そして、最後のロッカールーム。

「涙のロッカールームにはせーへんぞ!」
声の主は谷監督。
私も長年、高校サッカーに携わらせて頂いているが、これほど、早く身支度をして
引き上げたチームはなかったと思う。

全員が向かった先は、スタジアムの入り口。
そこで待っていたのはー。

神戸弘陵の応援団だった。
メンバーに入れなかった96名だった。

チームの解散式は全員で。試合に出た選手だけ、メンバーだけじゃない。
まさに「和衷協同」の精神。

「負けは悔しいけど、君たちがチームに残した財産は果てしなく大きいものでした。
3年生ありがとう。3年間お疲れ様でした」
本気で全国の頂点を狙っていた。今回夢は叶わなかった。
でも一丸で戦えた。
みんなの前で静かに話した谷監督。そこに涙はなかった。

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今ではすっかり、私のお気に入りの言葉になった「和衷協同」。
この気持ちを大切に、今年も1年間、真摯に仕事に取り組んでいきたい。

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