防災バッグの必要性は感じているけど、「重い」「価格が高い」。そのイメージを変えたのが、株式会社山善の「防災バッグ30」です。
約2kgという軽量さと、一次避難に特化した30品を揃えながら、4000円前後というリーズナブルさを兼ね備え、2016年11月の発売以来、30万個以上を販売するヒット商品となりました。
一体、どのように商品化を実現したのか?
商品の企画者、山善 家庭機器事業部・小浜成章氏に企画のきっかけと思いを聞きました。
山善 家庭用機器事業部 マーケティンググループ
R&D部長 兼 SP課長
小浜成章氏
きっかけの一つは、上司から見せられた防災用品セットの新聞広告でした。
「こういう商品は、いらないものがいっぱい入っているよね」と思いつつ、1~2万円の価格ではなかなか手を出しにくいはずで、「もっと安くすることで普及させることはできないか」と考えました。
もう一つは、私が地域の消防団に所属していることでしょうか。ハザードマップを作ったり、災害時には地域の皆さんと対応しますから、防災・減災は常に身近に感じてきました。その経験や知識がいかせたことは良かったですね。
「いかに安くするか」には苦労がありました。
でもこれまでに社内で雑貨製作企業とつながりがあったことや、リュックサックを単品で販売していたことから、それを活用して実現しました。
もちろん価格を決める時は迷いましたよ。でもより安いほうが、面白いですよね。
「30品も入ってこの価格?こんなん、よう作るなぁ!」という方が驚かれるでしょう。“驚き”を提供する意味も込めて、4000円前後に設定しました。
30万個以上も購入して頂けたのは、「災害は不安だけど、これまでの価格では手を出しにくい」という声に応えられたからだと思います。
私たちがこの防災バッグで安心感は提供できても、「役に立つか」は別です。でも「防災・減災を考えるきっかけになれば」と願っています。
一次避難に必要な30品目は揃っていますが、必要なものは人によって異なるはず。高齢の方なら硬い乾パンより食べやすいレトルト食品だったり…。
「自分には何が必要か」を考え、ぜひ工夫して頂きたいですね。それが防災意識を高め、命を守るためのスタートになれば幸いです。
あえて全てを揃えていないその“不完全さ”が、ある意味この商品の良さなんです。
お客様自身が考えて使いやすいマイバックにして欲しいと思います。
山善には防災バッグ30や車中泊用防災バッグ25の他に、防災帽子などもあります。
今後はそういった、常に身に付けていられる防災商品も企画していきたいですね。
地震や台風、豪雨など、今この日本で、いつどんな災害が起こるかわからないですから。
【YAMAZEN 防災バッグ30】
ファミリー用ではなく1人用なのは
「家族が一緒とは限らない。離れて住んでいることも考えて」
防災バッグ30
一次避難に特化した懐中電灯、アルミブランケット、携帯トイレ、サンダルなど30品を梱包。
車中泊用防災バッグ25
防災帽子
家電量販店、ホームセンター、くらしのeショップなどで購入可能。