2021年05月10日(月曜日) 20:17 地域・まち新型コロナ

兵庫の医療従事者の声 助けられない命が…
 「まるで26年前の震災・見えない災害だ」

兵庫県では5月10日、18人の死亡が確認されました。さらに、神戸市はさきほど入院調整中に80代の男性1人が自宅で亡くなったと発表しました。サンテレビの「NEW×情報キャッチ+」では、医師で兵庫県感染症等対策室の山下輝夫室長と中継を結び、非常に厳しい状況が続いている医療の現状と今後の対策について聞きました。

山下輝夫 兵庫県感染症等対策室長
「これまで1年間、戦ってきた新型コロナウイルスと、現在感染の主流であるイギリス型の変異ウイルスは全く違うウイルスと考えていいほど、性質が変化している。感染力の高さは、家庭感染で家族全員が陽性となるケースも少なくありません。毒性は若者や基礎疾患のない人まで重症化する頻度が増しています。
 現在1日平均の感染者数が300人を大幅に超える日々が続いております。
 最低限度の医療は患者に届ける努力は継続しているものの、残念ながら、毎日のように自宅や施設で亡くなられる方が報告されている異常な状況であると認識しています。1人でも多くの救える命を守る努力を続けてまいりたいと思っております。」

その厳しい現状について医療現場の医師や看護師の声をまとめました。

神戸市立西神戸医療センター 濱本カナコ 副院長兼看護部長
「(西神戸医療センターは)中等症の病床ですけども、現在、高流量、高濃度の酸素を使って生きるか死ぬかの瀬戸際にある患者さんが多くいらっしゃいます。本当に助けたくても助けられない命ってあるんですね。『重症病床の病院に転院させてほしい』という依頼が多くありますが、重症病床も現在、ほぼ満床です。中等症の病床に入って重症化しても、なかなか医療の限界がありますので、私たちは精一杯できることを、最善を尽くしてやりますけども、助けられない命というのもあります。それを現場のドクター・ナースたちが毎日対応しているんですね。他人事ではなく自分のこととしてとらえて感染予防行動を徹底していただきたいと思います。」

県立淡路医療センター 野村哲彦血液内科部長
「この連休中は2床とも人工呼吸器がつながった方がいまして、きのうも人工呼吸器を離脱できた方がいたんですけども、またすぐに人工呼吸器がつながるような方が入ってきて。連休中、島内で自宅待機している方が100人弱いらしたので、その方たちが悪くなった時のために少し病床を空けてはいたんですけどもすぐ埋まってしまうような状態で。兵庫県全体でみると助かる命が助からない状況になっています。」

県立淡路医療センター 鈴木康之院長
「淡路島ももう少し事態が深刻化するとすぐにでもそういう状況になる。そういう危機感はすごく持っています。淡路島が大丈夫ということは決してございませんので。その辺りを皆さんに訴えたいところです。」

兵庫県立尼崎総合医療センター  松尾裕央 感染症内科 医長
「適切な医療をしなければいけないような方々。適切に入院して治療するというようなことをすべきだと思うんですけどもそれができない。ベッドが満床で断らざるをえない。やっぱり無力感を感じます。つらいなと。
今回の第4波は30代、40代、50代でも非常に悪くなった状態で救急車に搬送されてきて集中治療室に入らざるをえない方がおられます。(イギリス型の変異ウイルスは)別物のウイルスのような印象があるくらいの惨状となっているような印象を受けています。インドでコロナ感染症の方が増えていて入院できなくて病院の前で酸素ボンベをつけたり、規模の差ははるかにあるとは言え、今兵庫県は同じような状況が起こっているんではないかと。
災害という言葉が非常に合っている状況じゃないかと思います。災害が実際に目に見えないんですね。災害の状況が目に見えれば一致団結して乗り越えようという気持ちになると思うんですけども。病院で治療にあたる前に患者数を減らさないと乗り越えられない災害だと思います」

尼崎総合医療センターの松尾医師は、26年前の阪神淡路大震災で神戸の自宅が全壊しました。当時、「助けて」という声に助けられない状況を見た。その時と同じなんだと話していました。山下室長は、そんな医療従事者の厳しい声を直接聞く立場です。

山下輝夫 兵庫県感染症等対策室長
「我々県民の方、陽性患者、家族、医療従事者から声がたくさん寄せられています。今、松尾医師がおっしゃったように、このコロナ禍は『見えない災害』で、実感がない災害と言った方がいいかもしれません。日々1人でも多くの命を助けるため、昼夜を問わず努力している現場の声を直接聞いていただきました。この現場からメッセージは必ず県民の心へ届くものと確証しています。」
兵庫県は病床数や宿泊療養施設の部屋数を少しずつ増やしていますが、これは簡単なことではない?

山下輝夫 兵庫県感染症等対策室長
「病床数を増やすには人を増やさないといけません。日本は世界に誇れる国民皆保険制度を1961年に達成し、いつでもどこでも高い水準の同じ医療が受けられる、いわゆる、フリーアクセスはもはや機能していません。このような状況では、病床のさらなる確保には、救急医療やがん、整形外科などの治療制限という犠牲を払わなければ、もはや確保できない状況であることを県民の皆さまには理解していただきたいと思います。」

緊急事態宣言が5月まで延長されます。路上飲みを控える呼びかけが新たに加わりましたが、そのポイントは?

山下輝夫 兵庫県感染症等対策室長
「若者や働き盛りの方々の人流や人との接触を軽減することが重要です。そのためには、アルコールへの対応と土日休日の行動変容を変えることが重要であります。このことが路上や公園での飲酒の禁止であったり、大型商業施設の土日休業の要請につながっているます。若者、働き盛りの方がどうしても目の前の現状を直視しない。見えないものですからなかなか行動変容につながっていない気がします。
この状況を一刻でも改善し、医療現場の負担を軽減することで、すべての県民が安心して日常生活を送れるようになるためには、今ただちに、県民1人1人が医療現場の現状を理解し、自らの行動を変えることによって、感染者数を減らすことが重要であります。決して他人事ではなく、このままの行動を続けていけば、まもなく多くの人がけがをしたり体調を崩したりした時に初めて兵庫県が置かれている医療の現状を目の当たりにし、立ち尽くし、これまでの行動を悔いる時がすぐそこまで迫っている状況です。

 うつらない、うつさない。自らの立場で自覚を持って行動することを改めて県民の皆様方にぜひともお願いしたいと思います。また、ワクチンの接種も高齢者を対象に本格的に開始されつつあります。これも感染制御のための重要な行動です。しっかりと理解した上でより多くの人が、より迅速に接種することが感染制御に有効であると確信しているのでぜひご協力をお願いしたいと思っています。」

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