開幕を一週間後に控えた9月24日、西宮市の廣田神社。
チーム創設10年目のシーズンに挑む西宮ストークスの渡瀬吾郎社長が祈願したのは、渡瀬社長。
「何とかチームを優勝に導いていただきたいとお願いした」(渡瀬社長)
男子プロバスケットボールBリーグの2部、B2に所属する西宮ストークスは
2011年に発足し、3シーズン前には最高峰のB1でも戦った県内初のプロチームです。
チームを運営するフロントスタッフは11人。
異例のシーズンを前に大きな壁に直面していました。
「いま収支計画立て直しているが厳しい。大丈夫ですと言いきれないが絶対になんとかする」(渡瀬社長)
Bリーグは昨シーズン、新型コロナウイルスの感染拡大により、無観客試合を経てリーグ戦を途中で打ち切りに。
ストークスは中地区2位に終わりB1復帰を果たせませんでした。
さらに営業面での打撃も大きく、残っていた主催試合の入場料やグッズの収益が得られなかったことで、ストークスの売上損失は3000万円を越えました。ところが…
地元の船舶用電子機器メーカー古野電気と3月に「オフィシャルメインパートナー」の契約を締結。
窮地に立つチームを支援しようとスポンサー企業が続々と現れました。
「有難い縁。チームはバスケットで結果を出し、我々はコート外で結果を出そうと同じ目標で進んでいる」(渡瀬社長)
一方、チームは例年以上に積極的な戦力補強を行い、B1の大阪エヴェッサで長年活躍した今野翔太選手など実績ある3人が加入。
「B1の当たりや考えをみんなに示してプレーで引っ張りたい」(今野選手)
さらには外国人選手も全て入れ替え新たに3人を獲得しましたが、入国制限のためチームへの合流が遅れる事態に。
外国人選手は特例で急きょ追加契約した1人だけ(アジア特別枠除く)で開幕に臨むことなりました。
「外国籍選手が合流できていない問題もあるが今のメンバーで十分戦える」(谷主将)
この日、球団事務所では1週間後に迫ったホーム開幕戦に向けて会議が開かれていました。
「開場時間を遅らせて上限1000人にする想定はどうですか?」(フロントスタッフ)
昨シーズンまで試合開始の3時間前にしていた開場時間をどうするか。
「縮めると密になるので開場時間を早めて分散させる方がいい」(渡瀬社長)
「早めたところで何も中でやっていなかったらお客さんは来ようと思わなくないですか?」(フロントスタッフ)
「それはお客さんが任意で判断する。とにかく密避けないといけない」(渡瀬社長)
客席を半分に減らしつつも、より多くの人に安心して来場してもらうため議論は続きました。
そして迎えたホーム開幕戦。
本拠地の西宮市立中央体育館にはこの日を待ちわびたファンおよそ900人が詰めかけました。
渡瀬社長はフロントスタッフや運営ボランティアとともに慌ただしく動きます。
「開場は遅らせて3時にします」(渡瀬社長)
試合開始の2時間前に開場。
入口で手の消毒や体温のチェックをして来場者が次々と体育館に入っていきます。
「生で見られるのですごい楽しみ」(男性ファン)
「迫力が違う、歓声出せないけどグッズ掲げて応援するの楽しい」(女性ファン)
チームはアウェーで開幕2連勝。
ファンの声援をかみしめながらコートに立ちました。
午後5時、ついに試合開始。
ところが会場の外には依然多くの人が入場できずにいました。
当日券の来場者には入口で名前や住所の記載を求めるために想定以上の時間がかかっていました。
「陽性者が出た場合に追跡できるように座った人の名前を全部控えさせてもらっている」(渡瀬社長)
一方、試合では外国人選手がそろい体格で上回る相手に苦戦が続いていました。
リードされて迎えた後半、ストークスが攻勢に出ます。
さらに、チーム生え抜きのキャプテン谷直樹選手が3ポイントシュートを決めて会場はヒートアップ。
しかし反撃もここまで。
地元開幕を白星で飾ることはできませんでした。
困難に直面しながらも8か月ぶりのホームゲームを終えた西宮ストークス。
その戦いは始まったばかりです。
「入場に我々が手間取り、お客さんを待たせてしまった。もう一度見に来たいというゲーム、興行にしたい」(渡瀬社長)
-2020年10月19日放送「情報スタジアム4時!キャッチ」より