2021年10月15日(金曜日) 18:17 報道特集・ドキュメント

女性と赤ちゃんの命を救う「小さないのちのドア」 設立から3年

予期せぬ妊娠などに追い詰められた女性たちを受け入れる施設が神戸市北区にあります。

「小さないのちのドア」。

24時間365日、対面や電話、それにラインなどで相談に応じるほか、診察料や相談料は不要で、必要に応じて支援機関につなぎます。

(小さないのちのドア・代表永原郁子さん)
陣痛が起こっていますとか、生まれたところですという電話も今まで13人ほどありましたがほとんど夜中。命を守るというのは24時間で対応しないといけないというのはつくづく3年間で思いました。

助産師で、代表を務める永原郁子さんはこれまで多くの赤ちゃんの誕生に立ち会ってきました。

2017年、永原さんたちは育てられない赤ちゃんを受け入れる「赤ちゃんポスト」の設置の検討からスタートしました。医師の常駐などの条件が壁となり、ポストの設置は断念したものの「女性たちの拠り所になる」という理念を残し、助産院の一角に対面型の相談窓口「小さないのちのドア」を開設しました。

(永原さん)
「捨てるために来たんじゃないよね、命を守るために来てくださったんだよね」とまず言いたいと思っていました。当初から私の心の中にはポストよりもドアにしたいという思いは最初からあったんです。本当の意味で女性の味方の場所ができたなと思っています。

設立から3年、永原さんたちはこれまでにおよそ2万2000件もの相談に応じてきました。

2021年9月には、サポートを受けながら子どもを産むと選択した人や、赤ちゃんを特別養子縁組で育ての親に預けると決断した人など、実際に支援した女性たちのエピソードをまとめた本を出版しました。

(永原さん)
行政も行っていない病院も行っていないという方は「助けて」の声が小さい。助けを求める手が細い。ここは頼る人がいない。住む家がないという方の受け皿。

出産を終えた女性たちを受け入れる場所がないという壁に直面した永原さんたちは、独自で妊産婦を受け入れるマタニティホーム「Musubi」を設立しました。出産後の生活から自立までを支援する妊産婦のサポートに特化した全国で初めての施設です。

「Musubi」ではことし8月末までに、パートナーと音信不通になった人や家族に頼ることができない人など13人の妊婦を受け入れてきました。

(Musubi施設長 西尾和子さん)
ここにたどり着いていなかったらもしかしたら新生児遺棄のような事件につながりかねないようなことだったかもしれないと思うとここがあって良かったなと思いました。

Musubiで生活する20代の女性は出産直前に住む場所をなくし、「小さないのちのドア」に救われたと言います。

(Musubiで暮らす女性)
地元から離れたところに住んでいたので地元の友達も頼れないし親とも疎遠で頼れないしどこも頼るところがなかった。電話した時にすごく優しい感じで「来られるならおいで」と言ってくれて行こうと思った。永原さんは明るく優しそうな…お母さんみたいな感じで一気に安心感は出ました。

女性はことし7月に男の子を出産。現在は、衣食住のサポートを受けながら就職活動を行うなど自立に向けて歩みだしています。

(Musubiで暮らす女性)
何でも支えてくれるし相談に乗ってくれるから一人で抱え込まずに頼ったらいいんじゃないかなと思います。Musbiは第二の実家みたいな感じです。帰ってきたいな。またここから出ても定期的に帰ってこれたらいいなと思えるような場所です。

(永原さん)
困っている妊婦さんは日本にはたくさんいらっしゃいます。24時間相談から生活支援から自立支援まで頼る人がいない方のセンター的なものがここだけではなく次ができるまでの方策を考えるというのが4年目の私たちの目標です。

永原さんはこれからも、ドアを開けた女性たちに伝え続けます。「あなたは1人じゃない」と。

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