去年11月にウェルビーイング先端研究センターを設立するなど、世界トップレベルのウェルビーイング推進拠点を目指す神戸大学。「個人のウェルビーイングと社会のウェルビーイングを共に高めること」を念頭にあらゆる領域の研究者が課題に向き合っています。特集では、まず健康や生きがいなど個人のウェルビーイングを考える上で喫緊の課題とされる「認知症」に注目。600万人と言われる認知症患者の更なる増加が見込まれる日本に於いて取り巻く環境に変化が起きています。特に共生と予防の重要性と維持改善について詳しく解説します。

神戸大学が独自で開発した認知症予防プログラム「コグニケア」。それは、定期的に頭と身体を刺激する運動教室と、健康や認知症予防に関するセミナーに、自らの健康状態の見える化を図る定期的な検査を連動させて健康寿命の延伸を目指すものです。特集では、その中身について詳しく解説するほか、スタジオに運動講師を招いて、「二重課題運動」（＝頭を複雑に働かせる認知系と身体を動かす運動系を掛け合わせた予備脳の強化に有効と言われている）プログラムのデモンストレーションも行います。

Zoomを用いることで全国から運動教室とセミナーに参加できる「ｅコグニケア」。自宅にいながら認知症予防を進めることができるほか、「モフバンド」と呼ばれるデバイスを使用して行うデジタル体力測定によって、トレーニングの成果を体感できる上、年齢ごとの平均などのデータをもとに専門家の指導を受けることもできます。特集では、コグニケアをオンラインで展開することのメリットについて解説し、モフバンドの使用感を実際にアナウンサーが体験します。

居住エリアの近くにあり、人の営みの中で自然や生物多様性が保たれている地域を「里地」「里山」と言います。神戸市北区にもそうした里山が存在し、景観を彩る水田やため池、畦地では、セトウチサンショウウオやキキョウなどの希少種も確認されています。しかし、人の手入れが不足してきており、耕作放棄地など里山の環境や生態系の維持に関する課題があがっています。私たちの生活に「豊かさ」をもたらすといわれる生態系をどう守っていくべきか。また、その経済的な価値とは。この問いかけに対して、今国内外で急速な検討が進んでいます。特集では、自然豊かな都市・神戸を舞台に生態系とウェルビーイングについて考えます。

神戸大学食資源教育研究センター（加西市）では、広大な田畑、果樹園、放牧地などをフィールドに、保有する遺伝資源を活用した品種改良や最新機器を用いたスマート農業の研究が進められています。今回は、「兵庫★スター食材図鑑」とのコラボで、元阪神タイガースの井川慶さんと元宝塚歌劇団の壱城あずささんが学生らと農場実習に参加。イネの収穫や脱穀、お米の食べ比べ、さらに新品種のジャガイモを使ったレトルト食品の試食などを体験します。センターの取り組みを通じて「日本農業の未来」や「食」をテーマにウェルビーイングを考えます。