甲南大学で開かれたシンポジウム
20年前、神戸市の質店で店主が殺害された事件で、強盗殺人の罪で無期懲役が確定して服役中の受刑者が、6月に再審=裁判のやり直しを請求するのを前に、シンポジウムが開かれました。
シンポジウムは、冤罪の救済に取り組む団体「イノセンス・プロジェクト・ジャパン=IPJ」などが開きました。
緒方秀彦(おがたひでひこ)受刑者(66)は、2005年神戸市中央区の質店で男性店主(当時66)の頭を殴って殺害し、現金およそ1万円を奪ったとされました。
1審の神戸地裁は、目撃から1年10カ月後に出た証言の信用性を疑問視するなどし、無罪を言い渡しましたが、2審の大阪高裁は1審判決を破棄し、無期懲役を言い渡しました。
2011年には最高裁が被告の上告を退け、判決が確定しています。
緒方受刑者は一貫して無実を主張。
2023年から支援を始めたIPJは、目撃証言の信用性に問題があるとして、当時、緒方受刑者が目撃されたとされる状況を再現した検証実験を行い、シンポジウムではその結果が発表されました。
人間環境大学 厳島行雄教授「(目撃者は)顔が見えたと言っているが、自動販売機の明るさ程度。もしそうだとすると逆光になる。彼の後ろから光が来るので顔は見えにくくなる」
緒方受刑者の弁護団は、今回のシンポジウムを通じて再審への機運を高めたいとしています。
弁護団は実験の結果を新たな証拠として、6月に再審請求の申し立てを行うことにしています。