【特集】六甲山を守れ! 大規模山林火災に備える消防の取り組み

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  • 六甲山で発生した住宅火災(2025年1月)

  • 林野火災の発生原因

  • 訓練の様子

山林火災は一度燃え広がると、火を完全に消し止めるには、時間も人手もかかります。

ことし2月に発生した岩手県大船渡市の山林火災は約2900ヘクタール焼損、鎮圧まで12日もかかりました。

また、最近では連日相次いで、山林火災が発生しています。

県内では、1月に六甲山上で2度民家火災が発生、大規模山林火災の危険性が指摘されています。

相次ぐ山林火災の危険性について取材しました。

「六甲山が燃えている」

ことし1月23日に六甲山上で発生した住宅火災。

麓の住民から消防に通報が相次ぎました。

消防車30台、約100人が消火活動にあたり、幸い山林への延焼は防ぐことができましたが、鎮火まで約17時間かかりました。

近くに住んでいる人は―

「最初は消防車の音で気が付いて外を見たら煙が立っていた それが薄く炎の明かりで照らされていて結構火柱が上がっているのだろうな」

この住宅には高齢男性が一人で暮らしていましたが、近隣に住宅もあり初期消火への対応が一歩でも遅れると、大規模山林火災につながる恐れがあったといいます。

灘消防署消防防災課消防第1係長 藤本武久消防指令

「現場到着した時には火災最盛期といって一番燃えているような状態ですぐに放水をしても消せないような状況で隣の東側の建物に軒下に煙が入っていましたので延焼防止を最優先に活動させました」

六甲山ではこの2週間前にも山頂付近で住宅火災が発生

今回のように短期間に六甲山上で連続して火災が発生したことは、非常にまれだということですが、藤本隊長は経験豊富なベテラン隊員が若い隊員に経験を伝承することが大事だと話します。

灘消防署に勤務する吉岡隊員、5年目の若手隊員です。

1月に起こった火災の消火活動にも参加しました。

灘消防署消防防災課 吉岡英幸 消防士長

「急な階段を降りていった先に火災現場があった感じです」

「水利が希薄なので1つの消火栓でも対応できますが違う消火栓からも水を確保する長距離延長も実施しました」

山上での消火では水の確保が大変重要になるということです。

では、六甲山上における山林火災に対して、消防はどのような体制を取っているのでしょうか。

灘消防署消防防災課 加賀山達也 消防司令補

「六甲山系は東西に長くなっていますので芦屋市消防本部と連携するなどヘリコプターの活用も考慮しながら活動しています」

「灘消防署であると第八分団が六甲山の付近にありましてそういったところからの駆けつけ時間を短くするような対応を取っています」

山上地域にいち早く駆け付けることができる消防団は、初期消火において重要な役割を果たします。

灘消防団第8分団分団長 舟山秋雄さん

「今のところ11人団員がいます」

「出動体制をとって各個人でも現場に行くという形ですね」

しかし近年は、高齢化もあり成り手不足が深刻だといいます。

「昔は保養所関係の方が多くてそこを管理されている方が団員になっていましたが今ほとんどなくなってしまって住民も少なくて難しい状態ですね」

また、灘消防署では日常から隊員が登山ルートを確認し、あらゆるケースの災害にも速やかに現場に駆け付けるための訓練を行っています。

灘消防署消防防災課 吉岡英幸 消防士長

「要救助者の位置情報がどこにあるかでどこから入るのが一番近いかというのを決めて入山しています」

「こちらが命の道標プレートというもので入山ルートのいろんな箇所に道標プレートが設置されています」

「位置情報がわかれば、登山向けアプリからどのルートで行けばすぐに要救助者のところに行けるのかわかるので」

記者「道標の番号で場所が分かってアプリで把握できる」

事故予防のため入山の際は、携帯の電波がつながらなくても使用できる登山地図アプリの活用を神戸市は呼び掛けています。

山林火災を発生させないためには

こちらは過去10年、神戸市内で発生した林野火災の件数をまとめたものです。

82件のうち最も多いのが、「たき火などの焼却火」で56件。

続いて「放火」が10件と続いていてほぼ人為的な要因で火災が発生しています。

それでは山林火災を発生させないためにどのようなことを注意したらよいでしょうか。

神戸市北区でありのままの自然を体験できるキャンプ場を運営している安田さんです。

ここで安田さんは子どもたちに火を使った防災教育にも取り組んでいます。

KOBE川の音ベース安田典充代表

「風がある場所ではたき火は極力しないでくださいと言っています」

「後はしっかりとたき火台を使うたき火マットもしっかりとしてくださいというルールは周知徹底しておりまして基本的に水を最初に周りにまいてやることが少しでも火災防止にはなりますねそれ以上広がらない」

乾燥しているこの時期、延焼を広げてしまうものが山林には多くあるので注意が必要だと言います。

「ここを見てみるとこういった杉の葉がありますね あっという間に燃えちゃいます」

「落ち葉が周りにあると延焼してどんどん広がっていきますので大げさに言うと枯れ葉を避けてからやってくださいということに気を付けてもらいたい」

正しく火を扱うことができるといざというときに役に立つ利点も多いので、火は付けたら消すという意識を忘れないでほしいと安田さんは子どもたちにも伝えているそうです。

「(火を)付けるからには責任をもって最後まで見るということ 消えたと思っても消えてないことがありますので細心の注意を払ってやっていただきたい」

1月の火災を受けて先月、摩耶山で山林火災を想定した訓練が行われました。

訓練には初めてケーブルカーやロープウエーが使用され、消火資材を持って頂上を目指し、消防団や山頂の施設関係者らとの連携を確認しました。

訓練の参加者は―

「都市に近い山とはいえ危険と隣り合わせの場所なので迎える方も気を引き締めて消火活動に当たりたいと思っています」

「初期消火は大事だと思いました 消火器の使い方も再確認できていい勉強になりました」

灘消防署 藤本武久消防指令

「消防団員を市街地から山に上げることが悩みでしたので ロープウエーやケーブルを活用できれば消火能力も上がりますので いい経験になったと思います」

神戸市の久元市長は山林火災への消防体制を強化するとともに、早期鎮圧に向けた広域連携を構築するとしています。

神戸市 久元喜造市長

「私自身非常に問題意識として感じています」

「大船渡の火災は決して対岸の火事ではない」

「森林がかなりの面積を占める神戸市としては、自分事として取り組んでいかなければならない」

「受援計画を神戸市は作っておりますから災害対応力を勘案して支援をお願いすることになると思います」

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