W杯に出場した藤木豪心(右)、左は妹・藤木日菜 /3月1日 カザフスタン
藤木豪心
サンテレビ スポーツ部に勤務
■W杯で基準クリア
フリースタイルスキー男子モーグルの国内トップ選手、藤木豪心(ふじき・ごうしん=イマトク 神戸市在住 27歳)が3月1日、カザフスタンで行われたワールドカップ(W杯)第14戦に出場。
デュアルモーグル(2人が同時に滑る)で8位に入り、来年のミラノ・コルティナ冬季五輪への「派遣推薦基準」をクリアした。
藤木は地上波テレビ局・サンテレビ(本社:神戸市)のスポーツ部ディレクターで、職場の協力を得て長期休暇を取り、基準クリアをめざしてW杯に参戦した。
帰国した藤木に話を聞いた。
■アクシデント乗り越え
今回、藤木は2月から3月にかけて、中国とカザフスタンで行われた2つのW杯に連戦し、それぞれシングル(1人で滑る)とデュアルの計4戦に挑んだ。
派遣推薦基準をクリアするには、4戦のうち1戦でも8位以内に入ることが必要だが、中国W杯ではシングル21位、デュアル29位と結果を出せなかった。
3戦目のカザフスタンW杯・シングルでは決勝トーナメントに進み、最高の滑りができたものの、そこでアクシデントが起きた。
濃霧で決勝が途中で中止となり、藤木の記録は“幻”に……。
予選記録の14位が最終結果となった。
「(中止にならなければ)8位に入っていたのではないか(と思う)。そういう終わり方で、気持ちが切れそうになった」(藤木)。
しかし気持ちを切り替え、最終4戦目のデュアルに臨んだ。
相手は中国W杯でデュアルで優勝したフィンランドの選手。
「相手は格上だが、自分は技を大きくきれいに決めて勝負しようと思った」。
藤木はその言葉通り、2つのジャンプを成功させ、僅差ながら相手を破って決勝トーナメントに進出。
勝てば8位以上が決まる準々決勝でカナダの選手を破り、最後の最後で目標を達成した。
「(準々決勝では)自分の滑りをやりきったら勝てるという自信があった。ゴールした時に自分の滑りができたと感じたので、自然とガッツポーズが出ました」
「中国では、練習の調子は良かったが、本番はカラ回りしてしまった。
それでカザフスタンでは、練習から本番への持って行き方を変えた。練習で120%を出して限界を理解し、本番では少し出力を落として100%になるよう調整した」。
妹の日菜(ひな=武庫川女子大)も兄とともにモーグルで今回のW杯に出場し、最高13位だった。
派遣推薦基準はすでにクリアしていて、今後、兄とともにミラノ・コルティナ五輪をめざす。
■“最後”の五輪挑戦
藤木は過去、平昌(2018年)と北京(2022年)の五輪出場をめざしたが及ばず、ミラノ・コルティナ大会が「最後」(藤木)の五輪挑戦となる。
今回、派遣推薦基準をクリアしたとはいえ、ゴールはまだ先。
日本の男子モーグル代表枠が何人になるかは未定だが、今後、国際大会で好成績をおさめ、国内のライバルたちに負けないよう、代表選出へのポイント数を伸ばしていかなくてはならない。
このため、3月下旬にスイスで開かれる世界選手権への出場が急遽決まった。
「世界選手権でポイントを稼ぎたい。W杯や世界選手権ではまだ表彰台に乗ったことがないので、自己ベストをめざしたい」
藤木はW杯から帰国後、すぐに仕事に復帰し阪神タイガースの取材などをこなしたが、世界選手権出場で再び職場の協力を得ることに。
「本当にありがたいです。ここまで職場の皆さんの支えがあって出せた成績だと思っています」
世界選手権が終われば、阪神タイガース中継や高校スポーツなどの番組制作に全力投球する。
そして11月から五輪挑戦の本番が始まる!
<藤木豪心…1997年、大阪府阪南市生まれ。父親の影響で9歳からモーグルを始め、2013年、「JOCジュニアオリンピックカップ」中学生の部で優勝。2022年、全日本選手権で優勝。W杯には34回出場。調剤薬局「イマトクメディック」(大阪府堺市)所属>
(浮田信明)