阪神淡路大震災で倒れた建物などからアスベストを吸い、肺がんを発症した80代の男性が、労災と認められていたことが分かりました。
神戸東労働基準監督署から労災認定されたのは、震災当時神戸市灘区に住み、ことし83歳で亡くなった男性です。
男性が勤めていた企業によりますと、男性は直接アスベストを扱う仕事ではなかったものの、震災発生後およそ3年間、通勤したり顧客を訪問したりする中で、倒壊した建物からアスベストを吸った可能性があるということです。
男性はその後、肺がんを発症し、アスベストが原因だったとする医学的な証拠も見つかったことから、神戸東労働基準監督署は労災として認定しました。
アスベストの被害者を支援する、NPO法人神戸労働安全衛生センターの西山事務局長によりますと、震災で生じたアスベストを原因とする肺がんの労災認定は、全国で初めてだということです。
アスベストによる症状は吸引してから20年から30年で発症するとされ、阪神淡路大震災から30年を迎える今が、最も被害が浮き彫りとなる時期だということです。