障害などを理由に不妊手術を強制した旧優生保護法を憲法違反とし国の賠償責任を認めた最高裁の判決を受け、岸田総理大臣はきょう原告らと初めて面会しました。
兵庫県明石市に住む小林宝二さん(92)。共に聴覚障害を抱え一緒に裁判を戦ってきた妻の喜美子さんに裁判の結果を報告しました。
1948年に制定され、障害などを理由に不妊手術を強制した旧優生保護法について7月3日、最高裁大法廷は「憲法違反」と判断。
不法行為から20年が過ぎると賠償を求める権利がなくなる「除斥期間」の適用については「著しく正義・公平の理念に反し到底容認できない」として国に賠償を命じました。
宝二さんと喜美子さんは1960年に結婚し、まもなく子どもを授かりましたが、喜美子さんは旧優生保護法の下、中絶手術と不妊手術を受けさせられました。
2018年に手術を強制されていたと知り、夫婦で神戸地裁に提訴しましたが、喜美子さんは待ち望んだ判決を聞けぬまま、おととし、89歳で亡くなりました。
最高裁の判決を一人で迎えた宝二さんは、安堵の表情を浮かべながらも長年の苦しみを訴えていました。
最高裁の判決を受けて岸田総理は17日午後、全国の原告ら100人以上と面会し「法を執行してきた政府の責任は重大だ」「心から申し訳なく政府を代表して謝罪申し上げる」と述べました。
岸田総理は新たな補償の対象や内容について「国会との調整を通じて早急に結論を出していきたい」と表明している他、審理中の他の裁判で「除斥期間」の適用を求める主張を取り下げる方針です。