洲本市のふるさと納税をめぐり、元職員による不適切な事務処理を調査する百条委員会についてです。5月25日と26日、市のふるさと納税の業務を取り仕切っていた魅力創生課の元課長が証人尋問で証言しましたが、市の職員らのこれまでの証言と食い違う点が多くありました。まず、洲本市ではどのような不正があったのかまとめました。
373品の返礼品に基準違反 第三者調査委「違法または不適切な事務処理」
洲本市のふるさと納税をめぐっては、基準を超える高額な温泉利用券を送っていたとして、2022年5月から2年間、市は制度の対象から除外されました。現在も制度に復帰できていません。市の第三者調査委員会は、373品の返礼品で基準を上回る高額な品を送っていたことや、地場産品の基準違反があったと結論付けました。
また、報告書では、温泉利用券をめぐり、市がうその公文書を作成したり外部の団体を巻き込んで偽装を図ったりした疑いを指摘。さらに、市が発行した商品券は管理番号が割り振られておらず、無断で持ち出されても分からない状況の中、元課長が不正に使用しパソコンやプリンターを購入したとされています。
この他、返礼品としてつくられたにもかかわらず、一部の市民に無料で配布されていたおせち料理について、元課長は議会の承認を得ずに申込書に偽の公印を押して2000セット4800万円分を東京の企業に発注した疑いが指摘されています。
一連の問題をめぐり、元課長は、停職6カ月の懲戒処分を受け、その後自主退職しています。疑惑の全容を解明するため、市議会は、2023年10月、強い調査権を持つ百条委員会を立ち上げて調査を始めました。そして、5月25日と26日。
リポート
「きょうも中の撮影は許されませんでした。傍聴はメディア1社1人に制限。市民には抽選が行われています。市役所6階と1階のロビーで閲覧できる特設のモニターを設置して対応しています」
行政を支えるはずのふるさと納税の業務で一体何が起きていたのか、元課長が証人尋問で2日間にわたって証言しました。元課長は、懲戒処分について市から十分な説明がなかったことへの不満。また、第三者調査委員会の報告について「僕の方に確認がなかった。報告書は正しいのか」と語り、数々の不正への関与を否定しました。
百条委員会は主に4つの点を調査しています。
①温泉利用券をめぐる公文書偽造
②おせち料理の不適切な事務処理
③商品券の不正利用
④市の旧東京アンテナショップをめぐる元課長の不正行為の疑惑についてです。
これらすべての項目で元課長と他の証人との証言が食い違っています。
虚偽の公文書 元課長「指示はしていない」と関与否定
まず、温泉利用券をめぐる公文書の偽造についてです。これまでに「元課長の指示で作成した」との部下の証言がありましたが、元課長は、「指示していない。担当職員がつくった。理事なり部長なりの指示で事務改善のために担当者がつくったのだろう」と関与を否定しました。
おせち料理 元課長「契約書を出してくれなかった」
続いて、契約書が存在しないおせち料理についてです。受注した東京のJTBパブリッシングは、「市から契約書を作成するよう要請がなかった」と文書で回答。一方、元課長は、「契約書を出してくれと言っても出てこず何度も注意した」と両者の証言内容が異なっています。
不正入手のパソコン 元課長「何をもって3台と言っているのか分からない」
商品券の不正利用についてです。浜辺副市長は、「元課長が不正に入手したパソコンは3台」と証言。元課長は、「何をもって3台と言っているか分からない。商品券で買ったのは1台」と語り、元課長と上司、部下との証言が食い違っていました。
ショップでの不正行為 元課長「事実ではない」
そして、洲本市のふるさと納税のPRを担った旧東京アンテナショップをめぐる元課長の不正疑惑についてです。サンテレビは、2023年9月、元課長が、代金を支払わずに弁当などの商品を食べたり、親しい女性などに公金で牛肉を送っていたりしたとする調査報道を放送しました。
ショップ内での不正行為について、元店長は「事実」。運営していた公社の支配人も「報告を受けたのは事実である」と証言。一方、元課長は、「事実ではない。事実でないから分からない」と否定しました。
百条委員会での虚偽の答弁は、3カ月以上5年以下の禁錮の罰則が科されます。委員会は6月をめどに報告をまとめたい考えです。