新型コロナワクチン接種後の健康被害について国民に広報せず、国が接種を推し進めたとして、ワクチンの接種後に亡くなった人の遺族や健康被害を訴える患者らが、4月17日、国に対し慰謝料などを求める訴えを起こしました。
東京地方裁判所に提訴したのは、新型コロナワクチンとの因果関係を否定できないとして国の健康被害救済制度で死亡一時金や葬祭料の支給認定を受けた8人の遺族と、接種後に後遺症が残り、医療手当などの支給認定を受けた兵庫県在住の女性を含む患者5人です。
訴状によりますと、新型コロナワクチン接種後に重篤な後遺症や死亡例が多数報告されていたにもかかわらず、国は、マイナスの情報を広報しないまま接種を推し進めて被害を広げたとして原告1人あたり330万円の慰謝料を求めています。
また、死亡一時金の支給対象が配偶者または生計を同一にする遺族に限られていることは、公平性を欠く制度設計だとして受給対象にならなかった原告の1人に約4800万円を支払うよう求めています。
新型コロナワクチンの接種後、2年近く体調不良が続く兵庫県に住む原告の女性の母親は、サンテレビの取材に対して「ワクチンでこんなことが起きるはずはないと娘の症状を医者が認めてくれなかった。国が認めないから問題が起きている」と国の責任を問いました。
厚生労働省は、「訴状を見ていないので確認できていない。訴状を見た上で対応を考えていきたい」とコメントしています。
兵庫県内の死亡事例の支給認定者 6割以上が副反応疑いとして報告されず
ワクチン接種後の副反応疑いは、主に医師などから独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)を通じて厚労省に報告されます。副反応疑い報告制度では、全国で2000人以上、そして、兵庫県内では2月29日現在、県内で61人がワクチン接種後に亡くなったと報告されています。専門家がワクチンとの因果関係を評価しますが、認められたのは2件のみで99%は情報不足によって評価できないとされ、その後、再調査は行われていません。
県内の死亡事例の支給認定者 6割以上が報告されず…
また、報告制度とは別に被害者に対して医療費や医療手当などを支給する健康被害救済制度があります。兵庫県内では4月12日現在、ワクチン接種後に亡くなった25人が因果関係を否定できないとして死亡一時金や葬祭料の支給が認定されています。兵庫県の調べによりますと、認定された25人のうち医師などから副反応疑いとして国に報告があったのは9件で、残りの16件、64%の死亡事例が因果関係を否定できないと認定されたにもかかわらず、国に報告されていなかったことが県の調査で明らかになりました。
疑いがあれば医師らの報告は義務 拒否されたら自ら報告も可能
医師や歯科医師、薬剤師など医療関係者は、発生した症状とワクチンとの因果関係が必ずしも明らかでない場合であっても、副反応疑いとして報告する義務があります。もし医師から報告を拒否された場合、自ら副反応疑いとして報告することも可能です。