■全国にアリーナ計画
男子プロバスケットボールBリーグの島田慎二チェアマンが3月28日、B2神戸ストークスの渋谷順社長と神戸市内で対談し、神戸港に建設中の「ジーライオンアリーナ神戸」(ストークスの新しいホームアリーナとして来年4月開業)への期待や、NBAに次ぐ世界第2位のバスケットリーグをめざす「B.革新」などについて語った。
対談で島田チェアマンは全国で進むアリーナ計画を紹介した。
「全国で10数件、ここに出せないものもあって、もっと多くのアリーナが予定されている。沖縄がトップバッターで、続いて群馬、佐賀、船橋(千葉)、長崎。6番目に神戸だ。関西にはまだアリーナが少ないので、しばらく神戸の新アリーナが席巻するのではないか。
アリーナの“破壊力”は非常に大きい。沖縄では、もともと3000人の体育館でやっていたのが、いきなり8000人ぐらい入っている。チケット売り上げは4倍になった。
佐賀も1000人ぐらいしか入っていなかったのが6000人に。群馬も1200人ぐらいから、毎試合キャパシティーの5500人でチケット売り上げは4倍だ。神戸も、可能性ではなく、絶対にそうなる」。
■アリーナは“誇り”
続いて島田チェアマンはアリーナの持つ力について語った。
「簡単に言うと、体育館はスポーツを『する』ための施設で、アリーナは『見る』ための施設だ。照明や雰囲気が違うし、選手がかっこよく見え、観戦体験が劇的に変わる。
神戸でも新しいファンが間違いなく増える。地元チームに対する誇りや、場合によってはシビックプライド(自分たちの街に対する市民の誇り)にも影響する」。
神戸ストークスの球団経営の一方、新アリーナの運営も担う渋谷社長は、事業への意気込みを語った。
「バスケットボールの持つ力を信じている。(新アリーナは)コの字型をしていて8000人が入る。満員のお客様の前でプレーができ、子供たちが笑顔でいるという世界を作りたい。Bリーグのオールスターにも手を挙げていきたい。島田さん、よろしくお願いします(笑)」。
■戦力均衡で活性化
一方、「B.革新」は、現在のB1・B2・B3の仕組みを改め、2026年に新たなトップリーグとして「Bリーグ プレミア」を創設するのが柱。
プレミアに参入するには、売上げ、入場者数、アリーナについて、それぞれ条件をクリアする必要があるが、成績による降格はない。
28日の対談で島田チェアマンはBリーグの現状について語った。
「バスケットボールは野球、サッカーに続く第3勢力になろうと努力し、昨年のワールドカップで一気に選手の顔も名前も知って頂ける状況になった。しかし、どのスポーツも同じだが、競技人口の減少に危機感を持っている。
もう一歩、成長して、地域創生のリーグになり、各地域でクラブが盛り上がり地域の活性化に寄与したい」。
その上で、新リーグがめざす活性化策について熱弁した。
「今までは資金投下ができるクラブが上に行き、強いチームができたが、点差が離れてあまり面白くないというゲームも増えている。
これを変え、ゲームの魅力を高めるため、戦力均衡に振り切る。サラリーキャップ(選手年俸の総額に上限を設ける制度)を作り、2025年からドラフト開始を決めた。いくら強くても、お客さんが入らなければ意味がないと割り切っていく。
クラブがしっかり稼いで、地元のスポンサーとの関係を結びつきを強化し、地域に不可欠な存在になる仕組みに変えていく」。
■ストークスの挑戦
神戸ストークスは2026年、新アリーナのもとでBリーグプレミアへの参入をめざしている。
絶対条件の「年間平均3000人入場」をクリアするため、4月20・21日、今シーズン最後となるホームゲーム(ワールド記念ホール)へ大勢の来場を呼び掛けている。
3月31日のホームゲームではストークスとして過去最高の5940人が入場した。
28日の対談で島田チェアマンは、「今回は(年間平均入場者が)3000人を超えていれば特例措置としてオッケーだ。そこにたどり着けるか否かという、ギリのところにいるので、皆さん、ぜひご支援をいただきたいと思います」とエールを送った。
<ジーライオンアリーナ神戸>
神戸港第2突堤に建設中の“民設民営”の多目的アリーナ。大阪・関西万博の開幕に合わせ、2025年4月に開業。神戸ストークスのホームゲームのほか、スポーツイベント、音楽ライブ、展示会、会議など、年間100~150万人の入場者を見込む。輸入車ディーラー事業を展開するジーライオン(本社:神戸市中央区)がネーミングライツを獲得した。
(浮田信明)