今回は、SNSを正しく利用するために気を付けたいことについて考えていきたいと思います。
総務省によりますと、国内のSNS利用者は、調査が始まった2018年は7310万人ですが、その後年々増加しています。
そして、おととし1億人を超え、これからも増え続ける予想となっています。
投稿や閲覧など、県内でも多くの人が日常的にSNSを利用しています。
「流行りを知ることができる」
「気軽に自分の好きなことを共有し交友関係を広げることができる」
「好きな芸能人の情報を得られる」
など楽しく活用する人がいる一方で、
「知らない人から友達申請が来ることが怖い」
「子どもがトラブルに巻き込まれないか心配」
など不安の声もありました。
SNSは不特定多数の人と情報を共有できることが魅力的ですが、拡散力が強いことで問題も起きています。
県内では、ことし2月に、宅配ピザチェーンのドミノピザ尼崎店で、アルバイト従業員の男性が鼻に触れた手でピザの生地を触っている動画が流出し、店舗が一時営業停止に。
さらに3月は、神戸大学のバドミントンサークルの学生らが合宿先の旅館で迷惑行為を行っている動画や画像が拡散され、大学が謝罪会見を開くまでに至りました。
なぜ迷惑動画が投稿され広まってしまうのか、SNSの使い方に詳しい兵庫県立大学の竹内和雄教授に理由を聞きました。
(兵庫県立大学 竹内和雄教授)
「自分の身内だけでなんとなくやれているみたいな感じの、安易に上げられる風潮があるのは怖い。
軽いノリでやってしまったことが、社会全体の基準で見たら『なんていうことをしたんだ』という感じになる」
(竹内教授)
「難しいやろ、正直言える?あほなことやっているやつに『やめとけ』って。各班で相談して」
兵庫県立大学の、竹内教授が代表を務める「ソーシャルメディア研究会」です。
およそ50人の学生が所属していて、SNSで子どもたちがトラブルに巻き込まれないように、ネットの恐ろしさや上手く使っていく方法を、年間およそ300カ所の学校に出向き、授業を行っています。
この日は、迷惑動画を投稿する若者の心理について考えました。
(学生たち)
「自分が面白いと思っているから、周りの人もきっと共感してくれるとか、面白いと思ってくれているという気持ちをもって動画を投稿してしまったのかな」
「面白くなくても、もう一回見たいから保存する。
保存とかでも拡散していくから、見ている僕たちの行動でいろんな人に回ってしまう可能性もあるから、一概にひとりが悪いとは言えずに、周りも悪いと言えるかな」
コロナ禍が原因になっているという意見も上がりました。
(学生たち)
「コロナ禍で高校生活を過ごしていたので、どういう人間関係を作ればいいか分からなくなった。
『悪いノリ』だよって言える人間関係を作ることが大事だと思っていて、ちゃんと言い合える関係を作ることが大切だと思う」
竹内教授は、私たちはこれまで起きたSNSのトラブルから学び、再発防止に努めるべきだと話していました。
(竹内教授)
「ネットであってもリアルであっても、ダメなことはダメで、お互い言え合えるような人間関係を再構築することが問題。
(旧Twitterの)リツイートも個人の発言と認められて損害賠償を請求されたこともある。そのあたりも子どもたちに教えてあげなければいけない。
ネットだったら何やっても良いといった間違った感覚を持っているのも事実なので。
一番大事なのは、ネットに出たらこれだけのことになるということを教訓にして、教えてあげなければいけない」
これまで起きたトラブルから私たちが学ぶことは、
「投稿する人も拡散する人も内容次第では罪になる場合がある」
「迷惑行為をしないこと、撮影・投稿しないこと・拡散しないことを保護者や周囲が若者に伝えることが大切だ」
と竹内教授は話していました。
一度ネットに上がった情報は二度と消すことはできません。
迷惑行為をしないことはもちろんですが、周囲が止める勇気も必要だと思います。
コロナ禍で希薄になってしまった人間関係をもう一度築いていくことも必要なのかもしれません。