神戸のシンガーソングライター・yu-kaさん。デビューから6年、障害のある人や夢を追う人たちを歌で後押しする「応援ソング」を創る活動を続けてきました。
yu-kaさんは20歳の時に発達障害のひとつ、ADHD注意欠如多動症と診断されました。
複数の仕事をこなしたり優先順位をつけるのが苦手な特性をもち、「働く」難しさに何度も直面したといいます。
(yu-kaさん)
「心身ともにだいぶつらかった。朝も午後まで起きられない。目覚めることができない」
たどりついたのが、自分の得意な「音楽」の道でした。
(yu-kaさん)
「苦手なことをさらけ出して、得意なことで周りの人を笑顔にしていく。得意なことで笑顔を届ける」
譜面がなくても弾き語りができるのが強みで、「応援ソング」をこれまでに80曲制作してきました。
2月25日、神戸市西区の西神中央ホール。
故郷でのライブ。長年の夢で、集客目標500人という大きな挑戦です。
毎日のライブ配信などと並行して、会場やゲストとの交渉など、裏方の仕事も1年かけて進めてきました。
「連携・確認して進めることはやはり苦手」「一人で抱え込こむのはやめようの練習中」
yu-kaさんのSNSには、メールなど、文章のやりとりが苦手という特性をかかえながら、準備に悪戦苦闘する様子が綴られています。
(yu-kaさん)
「マルチタスク(複数の仕事の同時並行)が苦手なんですけど、いろいろなことを同時進行して準備してきたと思うので、このライブの準備を通じて成長できた。学びもたくさんあった」
午後1時、開場。この日を待ちかねた客が会場へ。
(来場者)
「yu-kaさんに頑張ってほしいという思いで作りました。盛り上がりたいと思います」
お揃いのTシャツを着たボランティアスタッフ30人が忙しく動き回ります。
館内放送担当の親友・五百城さんもメンバーのひとりです。
(五百城朱理さん)
「(yu-kaさんは)常に人のことを大事に考えてくれる。自然に寄り添ってくれているといつも感じる。
なので、今回も人に応援されるような人になって、今回のホールが実現したと思う」
(yu-kaさん)
「きのうはあまり寝られなかった。緊張で」
(yu-kaさんたち)
「おかえりライブ、大成功させるぞ。おー!」
発達障害のひとつ、アスペルガー症候群を応援する歌など、30曲を歌いあげました。
430人の観客が見つめます。デビュー以来の夢が現実となった瞬間でした。
(yu-kaさん)
「むちゃくちゃうれしくて。このきょうの景色をずっと見たいなと思っていて、感無量で泣きそう」
終盤には感謝の思いを弾き語りで披露しました。
♪『花嫁(仮)の手紙』
「私はきょうここまで 仕事が続かなくて 自立も遅くて 心配かけたでしょう
でも 音楽の道が 私を救ってくれて 出会った皆さまに 支えられて
きょう とても素敵な時間を過ごしています
ここまで生きてこれて 本当によかった
支えてくれた皆さんに ありがとう 私はいま幸せ とっても幸せだよ
ありがとう ありがとう」
(来場者)
「思いがしみて感動しました。涙、涙です」
「人に対するやさしさっていうか、寄り添ってくださる気持ちがあふれていて」
「心にすごく響いて、ずっと涙が止まらない。
本当にきょうここに来られて幸せ」
周囲を支え、支えられ、夢をかなえたyu-kaさん。
(yu-kaさん)
「本当に楽しかったので、充実感でいっぱい。
一体感を感じたというか、幸せな時間でした」
多様性を認め合い、ともに助け合える社会に。yu-kaさんの奏でる音楽が、これからも思いをつなぎます。