障害のある人や若者が働きやすい職場へ 国の2つの制度に認定 丹波の企業

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パルプ製造などを行う丹波市の中小企業が障害者の雇用実績や特性への理解、若者の採用などで国から評価され、「優良中小企業」として認定されました。

実際に会社で働く障害者や社員に話を聞きました。

丹波市にある中小企業・兵庫パルプ工業で働く松本将裕さん。勤続23年のベテラン社員です。

(松本さん)
「今、生産計画を組んでます」

他の社員とともに仕事にあたる松本さんは、心臓に障害がある身体障害者です。

(松本さん)
「心臓を悪くしまして。昨年の7月に機械弁を付ける手術をしたんですけど、その後に身体障害者の申請をしまして。体に負荷のかかる仕事ができなくなったので」

松本さんは僧帽弁閉鎖不全症という心臓の弁のひとつが正常に働かなくなって、心臓の中で血液が逆流する病気を2019年に発症。その後2度の手術を行い、去年の8月に身体障害者手帳の交付を受けました。

(松本さん)
「不安でしょうがなかったです。子どももいるんですけど、ことし大学受験で教育費もかかるというのは予想できたので、簡単には仕事をやめられないというところがあって、非常に不安でしたね」

当時、工場で交代勤務をしていた松本さん。体に負担のかかる作業には不安がありました。

会社と相談し、体を使う現場から事務作業の出来る部署に異動。今は安心して働くことができています。

(松本さん)
「手術を受ける前から親身に相談に乗ってくださって、対応も早くて手術を受ける前には部署を移動させていただいたんで、本当にいい会社だなと」

松本さんが働く兵庫パルプ工業は丹波市に本社を置く中小企業で、段ボールや建築材料に加工されるパルプの製造やバイオマス発電事業を展開しています。

現在は170人が働いていて、そのうちの20代から50代の社員5人に障害があります。

松本さんの同僚の大槻太郎さんもその一人です。

(大槻さん)
「前の会社で工場で修理中に機械に挟まれるということがありまして、右手がほとんど動かないというような障害になっています。
ここから先、神経が半分くらい来ていないので、私生活にも若干不具合がある」

去年の7月に入社した大槻さん。職場では障害のことは気にせずに働いているといいます。

(大槻さん)
「気にせず働ける環境が整っていたんだと思うので、特に不具合なく仕事させていただいています。
入社の時点で『こういった障害がありますので』とお伝えしていたので、その分配慮していただいているのかなと。
やりがいのあることを任せていただいているので、責任をもってやらせていただいています」

会社は障害を持つ社員も貴重な戦力として考えています。

(兵庫パルプ工業 吉住晃一さん)
「障害を持たれている社員の方々の適性とか、それに合うような職場というのは選んで仕事に励んでもらっている。
本人が持っている能力であったりとか、それが原因で会社に居場所がなくなるというのは避けるべき。
できることはあるし、それに合わせたところというのを選ぶ感じ」

2月20日。兵庫パルプ工業は、厚生労働省から、中小企業を評価する制度のうち、障害者雇用に積極的な事業所に贈られる「もにす」と、若者の採用や育成・雇用管理が優良な企業を評価する「ユースエール」の認定を受けました。

2つの認定を受けるのは、兵庫県内の企業では2例目となります。

今回、もにすの認定にあたっては、障害者雇用率が国の定める民間企業の法定雇用率2.3%を上回る2.52%であることや、過去3年間に採用した障害者の就職6か月後の定着率が100%であることなどが評価されました。

また「ユースエール」では、有給休暇の平均取得実績が15日だったことや、月平均所定外労働時間が15時間だったことなどが評価されました。

(兵庫パルプ工業 井川直樹さん)
「働く人が、仕事だけではなくて、仕事と生活というものが統合したワークライフインテグレーション、そういった中で多くの方が働きがいを持って、働きやすい環境と感じていただけることが我々としてはうれしい。
まだまだ通過地点だと思っておりますので、より多くの社員の皆さんが、より働きがいを感じられるような会社となれるよう」

優良中小企業として「国のお墨付き」を得たことについて、松本さんと大槻さんは-

(松本さん)
「特に不満も何もなく、ありがたく仕事させていただいています。
働く環境的にはこれ以上ないんじゃないかなと自分では思っています」

(大槻さん)
「社会貢献という意味でも社員としても誇らしいことなので、障害者の人も通常の健康な方も、同じように働けるような環境を今後も作っていただけたらいいんじゃないかなと思います」

障害がある人にとって安心して働ける環境を整備することで、安定した雇用を生み出していく。

明るい未来や共生社会を実現するために、両者が理解を深め、共に進んでいくことが大切になります。

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