犯罪抑止呼びかける「兵庫県警音楽隊」 カラーガード隊の女性新隊員が奮闘

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1951年に創設され、現在34人が所属している「兵庫県警音楽隊」。楽器やフラッグを手に持ち、迫力ある演奏で防犯を呼びかけています。

明るい笑顔と踊りでステージを彩るのは、カラーガード隊「HOPPS(ホップス)」です。

去年10月、2人のメンバーが新たに加わりました。

中村朱里巡査長(25)と久保田詩織巡査長(25)です。2人は2年前に警察官となり、これまで交番などで勤務してきました。

(久保田さん)
「警察になる前から音楽隊に入りたいと思っていたのでうれしかったです。これから頑張ろうと思います」

喜びをかみしめる久保田さんに対し、不安そうな中村さん。

被害者支援や少年の更生に関わる仕事がしたいと思い、警察官を目指しました。高校生の時にダンス経験はあるものの、音楽隊への配属を知った直後は戸惑ったそうです。

(中村さん)
「地域で仕事してて、もっと経験積んで、という感じで思っていたので。
2週間くらい、内示が出てから考えて、置かれた場所で頑張ろうと思っています」

県警音楽隊の仕事はコンサートやイベントが中心で、普段の練習は欠かせません。

中村さんは慣れない道具に苦戦していました。体育館には落下したフラッグの音が響きます。

(中村さん)
「顔に落ちてきたりして。一回落ちてきたら怖くなるので難しい」

先輩の指導にも力が入ります。

(カラーガード隊HOPPS 池上まりさん)
「大丈夫だと思います。ふたりに楽しんでもらったらいいなと思います」

県警音楽隊は毎月コンサートを開催しています。この日はクリスマスコンサートです。

美しいメロディーと軽快なパフォーマンスで、会場はクリスマス気分に包まれました。

音楽に合わせて特殊詐欺被害の防止を呼び掛けます。

(中村さん)
「見ていただいた方に『よかったよ』『ありがとうね』と感謝していただけるときが一番うれしくなります」

去年12月、中村さんは、警察官になって初めての勤務地だった灘警察署を訪ねました。

(中村さん)
「最近はジングルベルとか踊ったりしてるんですけど…」
(先輩たち)
「めっちゃ踊ってるね。すごいやん」「頑張ってるね」

お世話になった先輩や仲が良かった後輩と再会。思い出話に花を咲かせました。

(中村さん)
「初めてで何もわからなかった時に優しく厳しく教えていただいたので。
きょう、久しぶりに来られて温かい気持ちになりました」

震災29年を前に、神戸市の兵庫区役所で開かれたコンサート。阪神淡路大震災で被災し、仮設住宅で暮らした人たちが招かれました。

県警音楽隊は、震災の発生直後から仮設住宅で演奏会を始めました。活動は2年に及び、185カ所で被災者を勇気づけてきました。

その後、東日本大震災や熊本地震の被災地にも出向き、復興を願い、音を奏でてきました。

阪神淡路大震災の時、まだ中村さんは生まれていませんが、地元、神戸に思いを馳せながら歌を届けました。

(中村さん)
「震災の記憶を伝えていく活動とかもあるので、音楽隊は必要な仕事だと思いました」

音楽隊に入隊して間もなく5カ月。はじめは苦手だったフラッグもお手の物です。

(池上さん)
「いいやんいいやん、きれいきれい。上手になったなぁ」

心強い同期にも支えられてきました。

(久保田さん)
「いてよかったです、本当に。お互い切磋琢磨してるよね」

(中村さん)
「いろんな経験をして、県民の方と会ったときに安心感を与えられるような警察官になりたいなと思います」

通常の警察官とは違った方法で防犯を呼びかける音楽隊。音楽隊でしか得られない多くの人との出会いをかてに、警察官としてさらなる成長を目指します。

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