■神戸港に姿を現す
神戸港第2突堤に巨大な建物が姿を現している。
収容1万人の多目的アリーナ。
日本で初めて、270度海に囲まれた水辺に位置し、神戸市に本拠を置くバスケットボールチーム(B2)「神戸ストークス」がホームゲームを行うほか、コンサートやイベントなど幅広い利用が期待されている。
大阪・関西万博の開幕に合わせて2025年4月に開業し、工事進捗率は1月末現在で30%という。
■三宮から徒歩20分
2月8日、これまで「神戸アリーナ(仮称)」とされてきたアリーナの名称を発表する記者会見が行われた。
輸入車ディーラー事業などを展開するジーライオン(本社:神戸市中央区)がネーミングライツを獲得し、「ジーライオンアリーナ神戸(GLION ARENA KOBE)」と決まった。
ジーライオンの菊地秀武社長は、「神戸の新しいシンボルとして地域の皆様に愛され、全国に広く深く浸透していくことと大きな期待をしております」とコメント。
アリーナを運営する「One Bright KOBE」の渋谷順社長(ストークス社長)は、「神戸・三宮という大きなターミナルから徒歩20分で行けるウォーターフロントのエリアは、この国にはほぼない」と立地の良さを強調した。
神戸ストークスの道原(どうはら)紀晃キャプテン(神戸市出身)は、「アリーナでプレイできるかは分からないが、モチベーションが上がり、プレイしたいという気持ちになった。神戸が盛り上がるきっかけになってほしい」と語っている。
■アリーナ隣に「緑の丘」
記者会見ではアリーナ周辺のパークエリア構想も明らかにされた。
アリーナに隣接して、第2突堤の先端に「緑の丘」を作り、目前にパノラマに広がる海と、背後に広がる六甲山系の山並みを共に一望できる場所を提供する。
この場所ではイベントも行われ、365日、日常的に賑わいを創出するという。
■目標は300万人
関西最大級となる新アリーナをどう活用するか。
記者会見で渋谷氏は、「神戸ストークスの公式戦が年間30~40日。残りは音楽ライブが80~100日と思っている。需要調査をしてニーズがここまであるんだなと思うくらい、“ご予約”をお聞きしている」と述べた。
渋谷氏に活用計画について聞いた。
—来場者数は
「アリーナの中で年間100~150万人。アリーナの外(パーク)でも365日イベントをやるぐらい考えているので150~180万人。高い目標だが(合計)300万人を実現したい」
—稼働率は
「70%後半で(予想して)大丈夫かなと思っているが、現実にはもっと行くと思う」
—バスケ、音楽ライブ以外には
「まだ正式には申し上げられないが、格闘技とか、いろんなスポーツとか、マイス(MICE=企業などの会議、国際会議、学会、展示会、イベントなど)とか、大学の入学式とか、多種多様なお問い合わせや、仮のお申込みみたいなものを頂戴している」
—関西万博との連携は
「まだ万博協会さんと具体的な話はしていないが、万博の(見学の)あとで来ていただくとか、いくつかのイベントは計画している」
■民設民営アリーナ
ジーライオンアリーナ神戸は、NTTドコモ、NTT都市開発と、渋谷氏が社長を務めるIT企業・スマートバリューの3社がコンソーシアムを組んで進める「民設民営」のアリーナ。
突堤という細長い場所に建つため、アリーナは馬蹄形をしていて、客席からコートやステージが近く臨場感が高いという。
神戸港に建つ新しいランドマークのオープンが待ち遠しい。
(浮田信明)