大阪の高校授業料無償化 兵庫への影響は?

  • X
  • Facebook
  • LINE

今回のテーマは「大阪府の高校授業料の無償化」です。大阪府が新年度から2年かけて段階的に行っていきます。兵庫県内へも大きな影響がありそうです。

兵庫県下の私立学校が加盟する、兵庫県私立中学高等学校連合会。

授業料1人63万円の超過分を学校側が負担する「キャップ制」は、経営の圧迫や教育サービスの質の低下を招くと危惧しています。

(兵庫県私立中学高等学校連合会 和田孫博副理事長)
「学校負担分は教育費や設備投資を抑える形でねん出しなければならない。
結果的には、生徒たちの教育内容や教育環境が劣化する危険性をはらんでいる」

また超過分の学校負担分を巡って、生徒間で生じる不公平感も指摘します。

「兵庫県から大阪の学校に通う生徒もいるが、(63万超過分は)他府県から通う生徒が、ある意味で負担しているということになる。
大阪の学校としても、校内の中の不公平感があって苦慮されていると思う」

さらに、授業料を大阪府と事前協議しなければならないため、私学の建学の精神や自由を損なう可能性を懸念しています。

「今後、物価高や設備の更新で授業料を値上げしなければならない時期が来た場合、管轄府県でない大阪府に対して、協議をして許可を求めなければならないという制度なので、認めがたい制度」

一方、制度への参加を表明した武庫川女子大附属中学高等学校。学校は西宮市にあり、およそ15%が大阪から通っています。

(武庫川女子大附属中学高等学校 世良田重人校長)
「大阪から通ってきている保護者の利益、要望は無視できないというところで、ギリギリの判断をした。
一番大きな課題はキャップ制ということ。授業料を改定する際に大阪府の教育長と事前協議することといったところで、私学の独自性をきちっと担保できるかといったところについてはすごく心配している」

今後、制度に対し要望したいことを聞きました。

「課題と思っているキャップ制や授業料の事前協議。そういったことがいい方向に改善されれば。
一番気になっているのは、居住地によって支援のあり方が違うということ。これについては各都道府県が頑張るというよりは、国が率先して、全国的な支援のあり方を早く確立していただけたら」

では、街の人たちはどう感じているのでしょうか。神戸三宮で聞きました。

「うらやましい」
「兵庫の子にも負担してあげてほしい」
「別に無償にせんでもええんちゃうかなと思う。補助を出してあげる分にはいいと思うけど」
「兵庫の子も大阪の学校に通うとかっていう子もいるだろうし、逆に大阪の子もこっちの方に通いたい学校がもしかしたらあるかもしれない。
じゃあ、その子たちはどうなるのってなったときに、(学校の)選択肢が狭まってしまうこともあると思うと難しい」

私学側は無償化の理念には賛成している一方で、「キャップ制」と「大阪府との授業料の事前協議制」に対する抵抗感が大きいようです。

この私立学校の反対の声について、大阪府の担当者に話を聞いてきました。

ことし4月から再来年にかけ、段階的に高校授業料無償化を進める大阪府。キャップ制について聞きました。

(大阪府教育長 私学課 島田治参事)
「大阪府が追求している完全無償化をするためには、どっかで歯止めをかけなければならない。
保護者負担をなくすために、公費で負担するのか学校が負担するのかどっちかしかない。こういう制度(学校負担)選択がベスト」

学校と大阪府の、授業料の事前協議制については。

「学校が値上げをすれば、その分は大阪府も負担をしないといけない。
負担するお金の原資は税金。大阪府民に対して値上げ分がどういう形で妥当性があるのか説明をしないといけない。
これについては我々としては、この制度を維持する以上、今後とも続けていきたい」

では今後、制度の見直しの可能性はあるのでしょうか。

「見直しが必要なのかどうかというのは議論すべきだとは思っている。ただ、いまの時点で、いきなり制度ができた中ですぐに見直しというのはなかなかない」

大阪府では年に1回、吉村知事と大阪の私学団体とで、意見交換を行っていくということです。

(神戸親和大学 金山健一教授)
「授業料無償化は少子化対策や人材育成につながるものであり、大阪府だけの問題ではなく、国や都道府県レベルで発展させなければならない。
10年後、20年後の子どものために、制度の目的と運用面は分けて議論すべき」

おともだち登録するだけ! LINEでニュースを読もう! ともだち登録をする 毎週配信(月・火・金) 1回で8記事をダイジェスト形式で配信。