2024年01月17日(水曜日) 18:47 報道特集・ドキュメント

【震災特番】震災を経験していない若者たち あの日のことを伝えたい

震災の経験と教訓を次の世代につないでいきたい。そんな思いから初めて開催された「1.17伝承合宿」。

講師の一人として招かれたNPO法人コミュニティ・サポートセンター神戸理事長の中村順子さん。震災で自らも被災する中で、被災者の生活を支えるなど、長年、ボランティア活動に尽力してきました。

あの日のことを伝えたい世代と知りたい世代。10代から70代までのおよそ60人が集まりました。

神戸市灘区を中心に活動している「あすパ・ユース震災語り部隊」。団体の代表を務めるのは、池田拓也さんです。

来年の震災30年に向けて、若者たちに震災について話せるようになってほしいという思いから、おととし4月にこの団体を発足させました。

灘区周辺の学校に通う高校生や大学生、専門学校の生徒など、20人ほどが参加し、学校が休みの土曜日に集まって震災について学んでいます。

代表の池田さんは、灘高校の教諭です。

(池田さん)
「灘高校の生徒もそうですし、それ以外の高校生を集めて福島県に送り込んで、いろんな勉強をさせるというツアーをやっているんですけども。
そういうところで東北で学んだ子たちが、東北の初めて出会うおじいちゃん・おばあちゃんとかに、『あんた神戸大変やったね』とか『兵庫県がきれいになってよかったね』みたいなことを全然知らない人に言われるし。言われる若者は自分の生まれる前の話なんですよね。」

生徒たちにとって、福島県の人たちとの交流が、神戸の震災について改めて考えるきっかけになったといいます。

(池田さん)
「若者たちにとっては生まれる前の話なので、どこかで聞いていてもなかなか腑に落ちていない。
自分ごとになっていないときに、本当にそうやって神戸や兵庫県のことを思ってくれる方が東北にもいたんだということに気づいたんですね。
次にどう思ったかというと、『恥ずかしい』って。自分は神戸とか兵庫県の震災をなんとなく知っているつもりだけどやっぱり全然知らないなって思った若者が、複数出てきたというふうに僕は感じた。
そういう子たちに、だったら神戸の震災のことをもう一回ちゃんと学ぼうかって」

池田先生の教え子で、灘高校2年の梅田大地さん。

東北での被災地学習をきっかけに、神戸の震災に興味をもつようになりました。

(梅田さん)
「東北の人と話していると、『神戸の人は知っているよね』と。
神戸の人は震災のことについて詳しいみたいなイメージがあるのかなと、実際に話を聞いていても感じたんですけど。
実際に話を聞いていても感じたんですけど、僕はその時は全く神戸の阪神淡路大震災のことを知らなかったし、そういうのもあって知りたいなと」

勉強や部活で忙しい毎日ですが、語り部隊の活動にも積極的に参加するようにしています」

(梅田さん)
「経験している人と経験していない人では、肌感覚というのは全然違うというのは思っていて。
それでも、若者がやることで当時のことを言ってくれる人がいたり、若者が言うから聞いてくれる人がいたりすると思うので、今、僕が若いうちにできることかなと思っています」

彼らが活動する神戸市灘区でも最大震度7を観測。1万2757軒の家屋が全壊、5675軒が半壊し、934人が犠牲となりました。

活動で大事にしているのは、身近な灘区のまちの人とふれあい、当時の話を聞き、それを伝えることです。

徳井神社の宮司・城戸直和さん。震災で社務所が倒壊し、当時の宮司夫妻が犠牲となりました。

話を聞くだけではなく、実際に自分たちの目で震災の傷跡を確かめます。

語り部活動を行う日が迫っていました。

東日本大震災を語り継ぐ福島県出身の大学生らの団体が、1週間後に神戸の街を訪れます。準備のため、これまでに地域の人たちから聞いた話を整理します。

どうすれば伝わりやすいのか。なかなか、まとまりません。ときには外にでて、実際の場所を確認しながらイメージをふくらませます。夜遅くまで準備は続きました。

福島の大学生たちがやってきました。実際に一緒にまちを歩きながら、用意した資料を使い、震災当時の様子を伝えます。

復興してきれいになったまちにも、震災を伝える面影は残っています。これまで自分の足で歩いて、住民の話を聞き、学んだ場所をたどりながら、丁寧に伝えます。

「あすパ・ユース」の活動に協力してくれている地域の住民も来てくれていました。若者たちに、思いをつなぎます。

1995年に起きた震災と、2011年に起きた震災。経験したか、していないかの違いはありますが、伝えたいという思いは同じです。

(梅田さん)
「福島や東日本大震災との大きな違いは時間。2011年に起きてから12年ぐらいしかたっていない。
阪神淡路大震災は30年近くたとうとしていて、年月がたったからこそ活動がやりやすいのかなと。
福島とかでやるよりももう一度また思い出せる時期というか、今まだ東北に行くとまだ思い出したくない人もいると思うんですけど、この地域だともちろん思い出したくない人もいると思うんですけど、そのうえでも思い出してほしいみたいな思いが高まってくる時期かなと感じているので」

1月17日まで1カ月を切ったこの日。今度は、阪神淡路大震災を経験した地域の人たちにも届くように、自分たちの言葉であの日を伝えます。

震災の伝承合宿で交流を深めたボランティア団体の理事長・中村さんも話を聞きに来ていました。

最前線で活動してきた先輩からエールの言葉が送られました。

(NPO法人コミュニティ・サポートセンター神戸 中村順子さん)
「若い人たちが自分の感性で探り当てて、その人から聞き出して、30年前を自分の考えとか中に引き込んでいって、改めて私たちに伝えてくれたわけです。
非常に深いことを受け止めたわけですよ、皆さん。生き方そのものを受け止めたんですよ。それを自分なりに生活の中に生かし続けてほしい」

震災を通して社会とつながる。彼らの活動は、震災を知る人にとっても学びとなり、地域の住民から受け入れられるようになっています。

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