■「優勝」と言った!
2023年もあとわずか。
神戸市に本社を置く地上波独立局サンテレビのスポーツ番組は、阪神タイガースの優勝、ヴィッセル神戸の優勝など、地元チームを追い続けた。
この1年を振り返る。
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9月14日、午後8時49分。
阪神・岩崎優の投げた球を、巨人・北村拓己が打ち上げた。セカンド・中野拓夢が手を上げる。
試合を中継していたサンテレビ・湯浅明彦アナウンサーは、「打ち取った!もう大丈夫だ!」と叫んだ。
中野がキャッチして試合終了。
「史上最強の猛虎、ここにあり!」
歓喜の胴上げを終えた岡田彰布監督に、サンテレビ・村上昂輝アナウンサーがインタビューした。
「監督、あの言葉をファンの皆さんも聞きたい」
岡田監督:「きょうで、アレは封印して、みんなで優勝を分かち合いたいと思う」
初めて出た『優勝』の言葉に、大観衆が沸いた。
この日は、午後10時40分から午前2時39分まで4時間にわたって優勝特番を放送した。
■V旅行に密着
阪神はオリックスとの日本シリーズを勝ち抜き、38年ぶりの日本一を達成。
11月23日に神戸・大阪で優勝パレードを行い、12月13日から19日まで、選手・家族・スタッフら345人がハワイへの優勝旅行を楽しんだ。
この間もタイガースを追い続けたサンテレビは、2023年の“集大成”として、31日の夜7時から年越し特番『熱血!タイガース党 お~んみそかスペシャル』を放送する。
また優勝旅行の様子は、新年1月5日、夜7時55分から1時間特番で紹介する。
ハワイへ同行取材したサンテレビ・スポーツ部の櫻井祐貴ディレクターは、「ハワイでの選手や監督、スタッフの表情は普段とは全く違い、リラックスしていました。番組では大竹投手と才木投手の休日に密着。2人が真剣にショッピングしている姿は必見です。近本&大山ペア、木浪&中野ペア、岩貞&岩崎ペアの“相性”を試す企画も。暖かい気候のもと、ユルい雰囲気で撮影も楽しめました。ぜひご覧ください!」と話している。
■Womenも日本一
阪神球団が運営する女子チーム「阪神タイガースWomen」が7月22日、「読売ジャイアンツ女子チーム」と初対戦し、サンテレビは甲子園球場から生中継した。
結果はタイガースWomenの完封負けだったが、女子TG対決の新しい歴史を開いた。
10月の全日本女子硬式野球選手権大会(松山市)では激戦を勝ち抜いて初優勝。
“兄”とともに“妹”も日本一に輝いた。
31日、夜6時から特番『2023年総決算!阪神タイガースWomen』で優勝への軌跡を紹介する。
■29年目の初V
サッカーJ1ヴィッセル神戸は11月25日、タイガースと同じように、ホーム(ノエビアスタジアム神戸)で初優勝を決め、大勢のサポータと喜びを分かち合った。
今シーズン7得点を挙げ大ブレイクしたMF佐々木大樹は、シーズン初旬の3月、サンテレビのスポーツバラエティ『うきスポ』に出演。
ノエスタについて「お客さんとの距離感が近いので応援も伝わるし、顔が見える。最近は黄色い声援も多くなってきた(笑)」と語り、今シーズンの活躍を予想させた。
12月10日、応援番組『ヴィッセルスタジアム』のスペシャルとして放送した優勝特番では、ビールかけ時の選手インタビューを紹介した。
大迫勇也:「まだまだ強くなれると思うので、もっと成長したいですね」
酒井高徳:「(若い選手が)頑張って付いてきてもらって、ありがたいばかりです」
武藤嘉紀:「優勝を決めるゴールを決められて幸せです」……
優勝シャーレをバックに、特番にスタジオ生出演したGK前川黛也は、「今年は、ベテランは引っ張ってくれて、そこに試合に出て貢献するんだという若手が、競争に入っていけたのが(優勝の)要因だったと思う」と語った。
■歓喜も涙も
猛暑が続いたこの夏、全国高校野球選手権兵庫大会も連日、熱い戦いが続いた。
サンテレビは毎週日曜日に大会の週刊ダイジェストを計4回放送。
決勝(7/27)の社×明石商は生中継し、社の劇的なサヨナラ勝ちを伝えた。
またマネージャーの奮闘ぶりや、試合後に敗退校が行う“ラストミーティング”にも密着取材し、8月に特番『夏のキセキ』で紹介した。
■兵庫代表を懸けて
秋は、各高校スポーツの全国大会へ向けた兵庫県予選が数多く開かれる。
サンテレビは、男女バスケットボール(ウインターカップ)、男女駅伝、男子サッカー、男子ラグビーの各決勝戦を生中継(駅伝は録画)し、兵庫代表決定の瞬間を伝えた。
男子バスケットボール決勝(11/4 育英×報徳学園)では、試合残り0.4秒で報徳がシュートを決め1点差に。バスケットカウントで得たフリースローが入れば延長戦突入だったが、惜しくも外れ育英が劇的勝利を遂げた。
男子駅伝(11/5)では、優勝した須磨学園の1区・折田壮太(おりた・そうた 3年)の快走を伝えた。
折田は、都大路(12/24 全国高校駅伝)でも1区(10㎞)を28分48秒で走り、日本人最高タイ記録をマーク。須磨学園を4位に躍進させた。
男子サッカーは、準決勝(11/5)と決勝(11/12 神戸弘陵学園 3-1 神戸市立科学技術高)を生中継で伝えた。
神戸弘陵学園は12月29日、全国大会1回戦で仙台育英(宮城)を4-0で破り、31日の2回戦で前橋育英(群馬)と対戦する。
サンテレビでは31日、午後2時5分から試合を生中継する。
■マラソンもバレーも
タイガースや高校スポーツ以外にも、サンテレビが毎年手掛けるスポーツ中継がある。
神戸マラソン(11/19 神戸市役所~西舞子~ポートアイランド)では、今年もスタート前から最終ランナーのフィニッシュまで、7時間45分を“完全”生中継した。
レースには招待選手や市民ら2万366人が参加し、1万9579人が完走した(完走率96.1%)。
中継では男女先頭集団に加えて、市民ランナーにもカメラが密着。
親子3代で一緒に走った石飛(いしとび)さん一家 =肇さん(69)、裕也さん(41)、菜々美さん(21)= が、6時間43分46秒でフィニッシュするまでを刻々伝えた。
女子バレーボール・ヴィクトリーナ姫路もVリーグ参入時から中継が続く。
今シーズンは日本代表4選手が活躍。12月23・24日に本拠地姫路市から熱戦を伝えた。
また男子の名門・V1日本製鉄堺ブレイザーズの試合を初めて中継した(10/14)。
このほか甲子園ボウル(12/17)で史上初の6連覇を遂げた関西学院大の中継も毎年続いている。
今年は10月28日、関西学生アメリカンフットボール・京大戦を神戸・王子スタジアムから生中継した。
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やはりスポーツの醍醐味はナマにある。
2024年、サンテレビはどんな感動シーンを見せてくれるか。
(浮田信明)