■V1に1勝1敗
女子バレーボールVリーグ2部(V2)首位のヴィクトリーナ姫路が12月の皇后杯に参戦し8強に入った。
2回戦(12/9)でV1埼玉上尾メディックスにストレート勝ち(25-18、25-21、25-15)。
準々決勝(12/10)ではV1首位のJTマーヴェラスと対戦し、4セット中、3セットがデュースになる激戦の末、敗れた(24-26、28-26、19-25、27-29)。
V2に降格した今シーズン、日本代表の井上愛里沙、柴田真果らを獲得してチームを大増強。
V1と対戦する皇后杯は格好の“力だめし”だったが、選手・監督は今回の結果をどう捉えているか話を聞いた。
■組織力に差
<10井上愛里沙>
アウトサイドヒッター(レフト)。日本代表。西舞鶴高-筑波大-久光を経てフランスリーグに1年在籍。今シーズンから姫路でプレー。28歳。
「埼玉上尾さんに勝てたのは大きな自信になった。JT戦はこれまでやってきたことの120%ぐらい出せたし、勢いもこちらにあったが、一つ一つの積み重ねが勝敗を分けた。JTさんはどんな所からでも、しっかりスパイカーが打てるようなトスを全員が上げていた。長く同じメンバーでプレーし、組織で戦うことにもたけている。私たちは正直、まだ2カ月ぐらいで積み上げているチームなので、その差を感じた」
■ちょっとが大きい
<5柴田真果>
セッター。日本代表。京都橘高-日体大-JTを経てフランスリーグに1年在籍。今シーズンから姫路でプレー。29歳。
「悔しいという思いが第一に来る。自分たちが持っている力を120%出し切り、周りからあとちょっとだったと言われるが、その“あとちょっと”を埋めるのが大きな課題だ。JT戦では、勝負どころで井上とチャッチュオンに(相手のブロックが)厚く2枚ついて来たが、最終盤でそうさせないため、中盤から“種まき”を考えないといけない」
■勝たないと…
<3田中咲希>
セッター対角(ライト)。四条畷学園高-中京大を経て姫路に在籍5年目。27歳。
「優勝をめざしていたのでやっぱり悔しい。いい試合はできたが勝たないと、結果を残さないと意味がないと感じている。今年は(井上)愛里沙さんや、ビビ(チャッチュオン・モクシー)がしっかり決めてくれるので、自分の役割りも明確になってきた。エースがいるので落ち着いて相手を見てプレーできる。監督は、控えの選手もその人に合った起用をしてくれるので、全員がいい所を出して戦えていると思う」
■力、付いている
<11宮部藍梨>
ミドルブロッカー。日本代表。金蘭会高からアメリカ留学を経て昨シーズン姫路に入団。25歳。
「(皇后杯では)どれだけ自分たちのバレーが通用するのか確認できた。“あと少し”が大きいが、しかし“あと少し”と周りに思ってもらえるくらいまでには準備できた。埼玉上尾さんにしっかり戦えたのは自信になった。着実に力が付いていることは証明できたと思う。新加入の選手と去年からいた選手とが、良い所を持ち合ってコートで表現できているので雰囲気がいい」
■とても満足
<19チャッチュオン・モクシー>
アウトサイドヒッター(レフト)。タイ代表。今シーズンから姫路でプレー。母国タイでは人気選手。24歳。
「(皇后杯の結果は)とても満足している。JT戦は一人ひとりが最高レベルのものを出し、お互いに助け合おうとした。相手がV1とかV2とかは関係ない。大事なのは自分たちの最高のものを出すこと。このチームに入って、慌てずにステップバイステップで調整させてもらったので、すごくやりやすい。自分のパフォーマンスも日々良くなっていると思う」
■100%出し切った
<アヴィタル・セリンジャー監督>
オランダ代表セッターとしてバルセロナ五輪で銀。オランダ女子代表監督を2度務めたほか各国のチームを指導。今シーズンからヴィクトリーナ姫路監督に就任。64歳。
「皇后杯の組み合わせを見た時、チャレンジングだと思った。1回戦の東海大も強いチームなので全力を尽くした。JTという高いレベルのチームに対しても、持てるものを全て発揮した。チームとしては、できて4カ月のホヤホヤだが、そういう中ではよくやっていると思う。(監督が求める100%のプレーだったか?)はい。今のチームの現状からすると100%出し切りました」
■23、24日に生中継
皇后杯を終えて12月23日からV2リーグが再開する。
開幕から7連勝中のヴィクトリーナ姫路は、今シーズン初めて本拠地、ヴィクトリーナ・ウインク体育館でホームゲームを行う。
サンテレビでは、23日(土)と24日(日)の両日、いずれも正午から試合を生中継する(23日は千葉戦、24日は仙台戦)。
元・日本代表セッターでヴィクトリーナ姫路の初代監督・竹下佳江さんが放送の解説を務める。
V2全勝優勝めざして、地元で連勝を伸ばせるか。
(浮田信明)