「希釈されていると思った」県立病院で医療事故 患者が心筋症に 後遺症なし

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兵庫県は、尼崎市内の県立病院で実施した20代の患者に対する蓄膿症の手術の際に、医師が誤まって薬剤を薄めずに投与したことで、心筋梗塞に似た症状を発症する医療事故が起きたと12月20日に発表しました。

県病院局によりますと、9月5日午後、尼崎総合医療センターで20代の男性患者に対する副鼻腔炎(蓄膿症)の手術の際に、耳鼻咽喉科の医師が止血のために薬剤を注射したところ、直後から男性に血圧の上昇や不整脈が出たということです。

医師が確認したところ、通常100倍に薄める薬剤をそのまま注射していたことが判明。男性は、「たこつぼ型心筋症(心臓の動きが部分的に悪くなる心筋梗塞に似た症状)」と診断され、集中治療室で治療を受け、2週間ほど入院した後、退院しました。男性に後遺症などはないということです。

医師と看護師の間では、今回の薬剤を注射する場合は100倍に薄めて使用することは認識していましたが、病院局の聞き取りに対し、医師は、「注射と言えば希釈されていると思った」と話し、看護師は、「いつものでよいと言われたので、薄めていない薬を用意した」と話しているということです。

今回の事故を受け尼崎総合医療センターでは、取り違えがないよう色付きの注射器を使用するなど、再発防止に取り組んでいます。

秋山徹志県病院事業副管理者は、「県立病院として、安全な医療の提供に努める中で、このような事案が発生したことについて、大変申し訳なく思っております。安心できる県立病院の実現のため、今後より一層、医療安全対策の取組みを進め、再発防止に努めてまいります」とコメントしています。

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