■たつの市で開幕戦
女子バレーボールVリーグ2部(V2)が10月28日に開幕する。
V2ヴィクトリーナ姫路(ホームタウン:姫路市)は、28・29の両日、たつの市立龍野体育館で開幕2連戦を行う。
V1で戦った昨シーズンは5勝28敗で12チーム中、最下位。
入替戦にも敗れて、4シーズン所属したV1からV2に降格した。
今シーズンは、オランダ女子代表監督など多くの実績がある“名将”アヴィタル・セリンジャー監督を迎え、再起を懸ける。
■日本代表が4人
このオフ、ヴィクトリーナは戦力を大増強した。
9月1日には、日本代表で196㎝のミドルブロッカー(MB)小林エンジェリーナ優姫(アメリカ出身、23歳)と、タイ代表のアウトサイドヒッター(OH)チャッチュオン・モクシー(23歳)の入団を発表。
9月29日には、パリ五輪予選で活躍した日本代表OH・井上愛里沙(元・久光、28歳)と、同じく日本代表で7月のネイションズリーグに出場したセッター・柴田真果(元・JT、29歳)の入団を発表した。
入団2シーズン目のOH宮部藍梨(25歳)を含めて日本代表が4人となり、V2では異例の“豪華”メンバーとなった。
■フォロワー40万人
開幕を前にした新戦力選手4人に話を聞いた。
井上は目標としていた東京五輪の代表に入れず、一時は現役引退も考えた。
「眞鍋監督(眞鍋政義・女子日本代表監督)から『とりあえず、やってみたら。結果よりも過程だから』と声をかけられ、吹っ切れた」
新しい環境でシーズンを迎える。
「自分の技術をもっともっと磨きたい。スパイクは年々引き出しが増えているので、いろんな点数の取り方を見てもらいたい。姫路は若い選手が多いので、プレーと精神面でチームの柱になりたい」と意欲を見せた。
柴田は強豪JTで司令塔を務め、V1連覇にも貢献した。
「アヴィタル監督が来られて、どうチームが進化するのか、やりがいがある。(自身は)いつでも落ち着いたプレーができ、アタッカーの良さを出せるセッターをめざして頑張っています」。
アメリカ人の父、日本人の母を持つ小林は、身長が190㎝を超えた15歳の時に、先生に勧められてバレーボールを始めた。
「やってみたら他のスポーツよりも楽しかった。大学卒業でバレーをやめるつもりだったが、日本から代表に呼ばれてびっくりした。(自分は)高い所をさわれるので、ブロックを決めて、チームにパワーを入れたい」。
チャッチュオン・モクシー(愛称“ブンビン”)は5シーズンぶりにVリーグに復帰した。
タイでは高い人気があり、インスタグラムのフォロワー数は40万人を超える。
「日本でプレーしたかった。チームメイトを助けるようなアタックをして、チームの力になりたい。日本語は少ししかできないが、バレーボール言語は問題ない。コートでは“ダイジョウブデス”(日本語で)」
質問に対して笑顔を絶やさず、にこやかに話す。
「周りの人からコートでニコニコしてるねとよく言われる。プレーしている時がハッピーなので、自然に笑顔になります(笑)」
■「百%」を求める
V2女子は10チームが所属し、総当たり2戦ずつ計18試合を戦う。
アヴィタル・セリンジャー監督は就任記者会見で、自ら漢字で「百%」と手書きした色紙を掲げ、常に最善を尽くすことを選手に求めた。
今シーズンからキャプテンを務める5年目のOH松本愛希穂(あきほ)は、「アヴィタル監督は勝ち方を知っている方。その勝ち方を教えてもらっている。練習でも100%を求められ、強度は高い。しかし必ず結果はついてくると、みんな少しずつ分かってきた」とチームの変化を語った。
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ヴィクトリーナ姫路は、28日午後2時から大野石油広島オイラーズと開幕戦を戦う。
29日は、午後2時からリガーレ仙台と戦う。
もちろん目標はV2優勝しかない!
<ヴィクトリーナ姫路>プロバレーボールチームとして、2016年、眞鍋政義氏がGM(ジェネラルマネージャー)、竹下佳江氏(元・日本代表キャプテン)が監督となって発足。2018年、V2優勝しV1に昇格。V1での成績は12位→10位→11位→12位。今シーズンは再びV2。来シーズン発足する新しいトップリーグ「S-Vリーグ」に参入を申請している。親会社はなく、播磨地方を中心に多くの企業などがスポンサーとしてチームを支える。
(浮田信明)