大阪で「レインボーフェスタ」 トランスジェンダー男性の思い

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ことし5月3日、LGBTQなどの性的少数者の存在を知ってもらうイベント、「レインボーフェスタ」が、神戸市で開かれました。

会場では、当事者や支援者が、グッズ販売のブースやステージを通して交流しました。

主催者のひとり、丸井仁さんは、LGBTQ当事者たちの交流会を開催する「RISE」の代表。女性に生まれるも性自認は男性で、手術を経て男性となったトランスジェンダーです。

丸井さんは神戸で女性として生まれました。しかし、物心がついた3歳の頃、性別に違和感を覚えました。その違和感は成長とともに大きくなり、思春期にピークを迎えます。

【丸井さん】
「中学校入ってからが一番そういう性別的なものは出せなくて。身体的な違和はあったんですが、生物学的な女性の方に自分を近づけていく、なれるならなった方が絶対楽というか、周りもそう望んでいるし。
なので、必死に女性になろうなろうなろうって、四六時中頭の中で葛藤しているような感覚でした」

葛藤の中で丸井さんは女性であり続けようとしましたが、限界でした。

【丸井さん】
「したくないファッションをしたりメイクをしてみようと思っても、やはりいやだとか、したくない髪型だとか。
そういった形でどんどん偽りの自分を築いていくと、心が持たなくなってきていて。ある時を境に涙が止まらない状態になってしまって」

その状態が半年ほど続き、丸井さんは変わったと言います。

【丸井さん】
「さんざん努力をしたけどやはり無理だからという部分で、少しずつ自分を解放していこうと思って。
男性的な髪型からでもいいし、服装からでもいいし。ちょっとずつ自分がしたいものを選ぶようになりました」

丸井さんは、大阪で開かれる大規模なレインボーフェスタの実行委員を務めています。

この日は、担当するブースの打ち合わせをオンラインで行い、来場者の交流をうながす詳細について話し合いました。

【丸井さん】
「仮に天気が悪くなった場合…。去年も大変やったじゃないですか」

丸井さんは性同一性障害特例法の制定によって、人生の転機を迎えました。

【丸井さん】
「僕が18歳の時に性同一性障害特例法、戸籍上の性別も変更できるというのが決まって。
それまで無かったので、決まった瞬間に『あっ、男として生きていけるんだ』と本当に救われたような感情になって。
男性として生きていく。僕はそれで生きていくんだと決めたのはその時です」

2日間開催のレインボーフェスタ。会場の扇町公園を2日目に訪ねました。

LGBTQ当事者グループや、大手企業、大学などのブースが70近く立ち並び、ステージにはトランスジェンダーのアーティストも登場します。

【レインボーフェスタ事務局長 桜井秀人さん】
「LGBTQの人だけではなくて、当事者じゃない人にもイベントを楽しんでいただいて。
こういう人たちがいる、こういう考え方があると知っていただくきっかけになればと活動しています」

丸井さんが担当する交流企画ブースです。

ゲームが始まりました。ペアになる言葉をひとつずつ書いた紙を参加者の背中に貼り、ほかの参加者にヒントをもらって自分のペアを探します。

初対面の参加者が仲良く盛り上がりました。

【参加者】
「すごい楽しかったです。(丸井)仁さんが盛り上げてくれて。
初めての方ともたくさんお話できて、いい交流企画、名の通りになったと思います」

【丸井さん】
「いやぁ、盛り上がりましたね。朝早かったけど、めちゃくちゃ皆さん協力的というか、楽しもうという気持ちがあってよかったです」

丸井さんは手術を受け、性別を変更した後、自分の生い立ちを隠して生活していました。

【丸井さん】
「ストレートの男性として世間に見られる自分を望んでいたけど、自分らしく生きられていない。そこがつらくて。
自分を出せる自分になりたいと、やっと過去を受け入れたというか、ありのままの自分を受け入れたから(RISEの)活動をしようとなれたので。本当のスタートはそこなのかなと思えるぐらいです」

この日は小雨の中、当事者や支援団体、企業からおよそ1500人が参加したパレードが行われました。

きらびやかなドラァグクイーンが乗ったフロートも登場。参加者は多様性を表した虹色の旗を掲げて練り歩き、「自分が自分であることに誇りを持って楽しもう」との思いを込めた言葉、「ハッピープライド」と沿道に呼びかけました。

実行委員の丸井さんは、ひとつのフロートの進行を担当。参加者と交流しながら、歩き続けました。

【丸井さん】
「沿道の人に『ハッピープライド』と呼び掛けて。ハッピープライド!」

【丸井さん】
「一緒に歩いている人同士で励ましあったり会話もあって。その中でLGBTQの理解が深まった印象があります。
自分を好きになって自分に自信が持てる、生きててよかったと思えるような、そんな人がひとりでも増えることを願って、活動をがんばりたいと思います」

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