9月17日、加古川市の播磨社会復帰促進センターで開催された「はりま矯正展」。
地域住民らに施設への理解を深めてもらおうと企画されているイベントで、コロナ禍を経て、4年ぶりに実施されました。
会場ではイベントの主旨に賛同した企業や団体による飲食ブースが並んだ他、刑務所で受刑者が製作した品の展示販売などが行われ、多くの人でにぎわいました。
播磨社会復帰促進センターは、業務の一部を民間に委託している官民協働の刑務所です。施設の周囲は高い壁で覆われていて、普段は自由に行き来できません。
官民協働の刑務所は全国に4つしかなく、2007年に開所したこちらの施設では、初犯で懲役3カ月から8年未満の、犯罪傾向の進んでいない男性受刑者およそ520人が収容されています。
この播磨社会復帰促進センターは、受刑者が再び犯罪に手を染めないよう更生させることを目的につくられました。
再犯防止に向けた特徴的な取り組みのひとつが、民間企業が担う職業訓練です。出所後に仕事に就けるよう、介護士、調理師、クリーニング師などの資格取得に力を入れています。
また、カリキュラムの中には、近年需要が高まるコンピューター関連の訓練もあります。基礎的なものからプログラミングやホームページ制作、携帯アプリなどの開発まで、個人の能力に合わせた職業訓練が行われています。
こちらは兵庫県警が検挙した刑法犯と再犯者の推移です。刑法犯の検挙数は減少しているものの、再犯者率は50%以上で、上昇傾向にあります。
再犯時に無職だった人の割合は66・5%と高く、刑務所出所者であることを理解した上で雇用する協力雇用主においても実際の雇用は少ない状況で、就労の促進が課題となっています。
再犯防止をめぐっては、2016年に施行された再犯防止推進法を受けて、兵庫県でもことし7月に具体的な取り組みを示す再犯防止推進計画が初めて策定されました。
また、神戸市はことし「再犯防止コーディネーター」という新たな役職を設け、司法機関などを含めたセミナーも開催しています。
播磨社会復帰促進センターでは再犯防止に重要な要素として「仕事があること」「社会とのつながりがあること」のふたつを掲げていて、社会とのつながりを保つためにも地域社会の理解が必要だとしています。