2023年09月19日(火曜日) 13:16 文化・スポーツ

【阪神優勝】9・14 サンテレビの長い1日 (上)

◾️会議を繰り上げ

阪神タイガースが18年ぶりのリーグ優勝を遂げた。
兵庫県と大阪府を主なエリアとする地上波独立局サンテレビはその瞬間を生中継した。

2023年9月14日。
サンテレビの長い1日を3回に分けてお伝えする。
・・・・・・・
【当日まで】

前週金曜(8日)の広島戦(甲子園)の前まで、阪神のマジックナンバーは「12」だった。
ところが広島に3連勝。マジックは一気に7つも減って「5」となった。

サンテレビ/神戸市中央区

サンテレビでは予定を繰り上げて12日(火)に関係者会議を開催。

最短の場合、サンテレビが放送権を持つ14日(木)の巨人戦で「アレ」になる可能性があることを確認した。

その場合、①試合中継のあと、準備ができ次第、通常番組を緊急特番に切り替える、②特番枠はできるだけ時間を取り、多くの選手インタビューを伝える、ことを確認した。

また14日の決着を持ち越した場合、翌日から広島でのビジター戦となり、16日はデーゲームなので、1日ごとに特番の手順を細かく詰めた。

無敵状態の阪神は12、13の両日も巨人に連勝。
広島がヤクルトに連敗したため、ついにマジックは「1」となって運命の14日を迎えた。

◾️つちかった中継、発揮を

【9月14日】

6:30
実況の湯浅明彦アナウンサーが起床。
自宅で選手データーなどを最終確認する。

9:30
サンテレビ本社(神戸市中央区)ロビーの手作りマジック表示ボードが「M1」に改まる。

スタッフ打ち合わせ©SUN-TV

11:00
中継車がサンテレビ本社を出発。
甲子園球場に到着後、カメラのセッティングなど通常と変わらない作業が続く。

15:00
祝勝会場(大阪府内のホテル)で中継準備が始まる。
現場責任者のスポーツ部・櫻井祐貴ディレクターは「カメラケーブルの設置位置や動線の確認で大変でした」。

16:00
試合中継スタッフが球場内で打ち合わせ。
中継車に乗るスポーツ部・大山智史ディレクターが、「アレがかかった大切な試合です。これまで皆さんがつちかったタイガース中継を、そのまま発揮してください」とスタッフに告げた。

17:00
球場内のレストランで、試合解説の真弓明信、掛布雅之両氏。
そして特番出演の中田良弘氏の3氏と打ち合わせ。
3氏は岡田彰布監督とともに1985年に日本一を遂げた主力メンバー。
当時について話の花が咲いた。

「実は引き分けでも優勝するとは、試合中に知ったんだよな」
(1985年10月16日、神宮球場のヤクルト戦。延長10回、5-5の引き分けで21年ぶりリーグ制覇)

「ビールかけをしたら、目に染みて痛かった。初めてなので知らなかった」

「かけてるだけで酔っ払ってくるんだよね」……

◾️ホームが遠い

サンテレビ ボックス席(左から)湯浅明彦アナ、真弓明信氏、掛布雅之氏/甲子園球場

18:00
サンテレビボックス席の放送が始まり、湯浅アナが第一声。
「何とも言えない、マジック1という雰囲気の甲子園球場です」

球場は4万2648人の大観衆。とても蒸し暑い。
阪神先発・才木が巨人先頭・長野を空振り三振に取る。

真弓氏「マジックが減っていくのが、ものすごく速かったですね」

掛布氏「広島3連戦の先発3人が無四球でしょ。ベンチも楽だと思いますよ」

阪神は初回、一死1、3塁で大山が遊ゴロ併殺。
4回も無死満塁としたが、佐藤輝明が三振。ノイジーが投ゴロ併殺でチェンジ。

湯浅アナ「きょうはホームが遠いタイガース……」

◾️素晴らしい、素晴らしい

19:40
なかなか先制点が取れない阪神だが、先発才木も踏ん張り、0-0で6回ウラを迎えた。
一死1、3塁で大山が巨人・赤星の3球目をとらえた。

湯浅アナ「センターへ。犠牲フライには十分な距離……決めたのはやはり4番大山のバットでした」

掛布氏「ちょっとバットの先でしたけど、よく外野まで持って行きましたね」

阪神1-0。
更にランナー1塁で佐藤がバットを強振した。

湯浅アナ「センターへ!伸びるぞ!……20号ォォ!……テル、ありがとう」

阪神3-0。
7回の守備につく両選手に、球場内から「大山!」「テル!」の大コール。

掛布氏「(佐藤は)素晴らしい。素晴らしい。(赤星の変化球を)右足で踏み込んで、膝がちょっと前に出る。そこで体を止める、壁で。だから頭が前に突っ込まず、距離が出るんですね」

◾️1球ごとに沸く

20:25
阪神4-2の8回表。一死2塁。
阪神4番手の島本が丸に内角の球でファールを打たせ、カウント2-2に追い込む。

真弓氏「(左打者の)一番いやなボール。コントロールに自信がないと投げられない」

続いて外角低めに際どい球。判定はボール。
1球ごとに大歓声が上がる。

掛布氏「いや~、今のは(球審が)手を上げてほしいなあ。完璧!」

最後は外角への変化球で空振り三振。

湯浅アナ「ファンの声援も味方にして…ありがとう島本さん」

◾️横田選手とともに

20:42
阪神4-2の9回表、元阪神・横田慎太郎さん(今年7月に脳腫瘍で死去、享年28歳)の登場曲「栄光の架橋」が流れる中、クローザー岩崎が登場。
中継カメラは「24 YOKOTA」のユニホームを掲げたファンを映し出した。

掛布氏「(岩崎と横田さんは)同期入団ですからね」

湯浅アナ「おそらく岩崎選手が、この瞬間のために考えていたことだと思います」

岩崎は1点差まで迫られたが、セカンド中野の超ファインプレーに助けられて二死まできた。
ランナー3塁でバッターは北村。

北村は岩崎の3球目を打ち上げた。
ついにその時がやってきた……(続く)
(浮田信明)

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