【特集】洲本市ふるさと納税「牛一頭買い」 請求した事業者がインタビューに応じる

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ふるさと納税で違反があり、制度から除外された兵庫県洲本市で、返礼品の「牛肉」を巡る続報です。市は、事業者から請求のあった「牛1頭」と書かれた請求書に対し、返礼品との照合をせずに支払いをしていました。なぜ、そのようなことが起きたのでしょうか。請求した事業者が、サンテレビの取材に応じました。

個体識別番号が重複した請求書

洲本市の「牛一頭買い」を巡っては、弁護士らでつくる第三者調査委員会が、2020年度からの3年間で市が、牛約65頭分を「一頭買い」していたと公表しました。また、請求書には、多くの牛が1頭あたり140万円と同じ金額で記されていた他、同じ牛の個体識別番号が重複して表記。さらに、洲本市を経ていない牛が確認され、地場産品としての基準にも違反していたということです。

これを受け、6月に開かれた洲本市議会ではー。

生田進三議員
「請求書では牛1頭として本市が購入した形になっているものがあると思われますが、洲本市が返礼品事業者として購入した牛を、解体・精肉して本市が返礼品として寄付者の方々に贈られていたということですか?」

洲本市企画情報部長
「商品フォームに示されていた返礼品にする作業までは、事業者にしていただいていた」

市は、返礼品として使われた肉を「牛1頭分」として事業者にまとめて支払っていたと説明しました。その額、約9053万円。さらに…

生田進三議員
「牛と返礼品との照合はされましたか?」
企画情報部長
「返礼品との照合はできておりませんでした」

元官僚で、市役所での勤務経験もある、神戸学院大学の中野雅至教授はー。

中野雅至教授

中野雅至教授
「第三者調査委員会の報告書を読んでいると勤務形態が相当異常なので、見落とすことはここ最近の行政だとあると思います。人的態勢が十分ではなかった。ただ勤務状態だけでは看過できないミスですね。納品書がないとか基本的なところが抜けているのは、いくら勤務体制がこうでも理由はつかない。説明がついていない以上は、洲本市はきちっと説明責任を負うべきだと思います」

この「牛一頭買い」について、「牛1頭」を請求した事業者がインタビューに応じました。

事業者
「いかにもうちの方が悪いことをしているみたいなニュアンスで情報を流すことをいったんやめていただきたい。うちは出荷業者なので、協力業者のお肉屋さんに依頼して全部加工までしていただいて、うちは箱詰めして出荷するだけです」

今回、「牛1頭」として請求があったのは、淡路島内にある3つの事業者から。3つとも同じグループの事業者で、2021年度には、グループに対し、21億円以上が支払われていたことが、調査委員会の報告で明らかとなっています。

まず、牛の個体識別番号が重複していたことについてー。

事業者
「単純に記載ミスです。1つは半頭が2つ載っている」

事業者取材の様子

Q請求書の書き方が1頭ずつになっているが?
「そこもお詫びいたしました。半頭もあったり、1・5頭もあったりする中、請求書の書き方が1頭ずつにしていたものですから、そこは洲本市の方にお詫びさせていただきました」

そして、牛1頭の金額が同じ140万円と記載されていたことについてはー。

事業者
「加工も冷凍も保管も含めての金額ですので、牛を1頭丸々買っただけの値段ではないです」

Q140万円がずらりと並ぶ請求書はありうるか?
事業者
「淡路牛を仕入れされている業者さんですので、ある程度重さは合わせていただいたのかなというふうに思っております」

Q洲本市の方にはこの請求書で通った?
事業者
「そうですね。それが。はい。そういうことです。当時はいけたということですね」

調査委員会の発表では、今回インタビューに応じたグループ企業のうち1社が、返礼品業者としての条件のひとつ「営業年数3年以上の実績」を満たしていなかったことが明らかとなっています。この1社は、設立してから半年ほどで、市から7億円以上の支払いを受けていました。それについてはー。

事業者の請求書

事業者
「洲本市の当時の意向に沿って、ふるさと納税をちょっと頑張りたいなということで、地元の雇用を生みたいということをお聞きしていましたものですから、一緒に大きくなったみたいなことはあります。当時の洲本市と相談して分社した。だから全て洲本市には報告して、洲本市の指示通りにした案件ですので、僕らは問題ないと思っていました。だから二重請求も産地偽装も絶対ないということをはっきり言わせていただきたい」

上崎市長

今回の問題について、洲本市の上崎勝規市長はー。

洲本市 上崎市長
「やはり適正でなかったということがいくつも出てきているという事がありますので、そのあたりも含めて、私どもの方でとりあえず調べられる範囲で全部調べていくという今の責任かと考えています」

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