4日間の審理が終結 遺族「真実明らかにされていない」 神戸市北区男子高校生殺害事件

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  • 会見を開いた堤敏さん

2010年に兵庫県神戸市北区で当時高校2年の男子生徒を殺害したとして、殺人の罪に問われている当時17歳の男の裁判員裁判は、4日間の審理を終え、6月12日に結審しました。 参加した遺族は「真実は明らかになっていない」と公判を振り返りました。

事件当時17歳の無職の男(30)は2010年10月、神戸市北区の路上で当時高校2年の堤将太さん(当時16)をナイフで複数回刺して殺害したとして、殺人の罪に問われています。 神戸地裁で開かれたこれまでの裁判で男は殺意を否認し、弁護側は、事件当時、刑の減軽対象とされる心神耗弱状態だったと主張しています。 12日の公判では、将太さんの両親、姉2人と兄の家族5人が被害者としての心情を述べる意見陳述を行いました。

検察は論告で「犯行は正常心理で行われた」とする精神鑑定の結果は信用できるとして「被害者にはなんの落ち度もなく一方的かつ執拗な犯行は殺意も強固で悪質であり、被告が当時17歳だったこと以外に酌むべき事情はない」として懲役20年を求刑しました。 一方、弁護側は「犯行当時心神耗弱状態で少年だったことが考慮されるべき」などとして懲役8年が相当だと主張し、裁判が結審しました。

被害者として参加した4日間の審理 「真実明らかにされていない」父が振り返る

被害者参加制度を利用してすべての審理に参加した将太さんの父親の堤敏さんは「家族が自分の思いの丈を言ってくれた。少しでもこの声が届いたらいいなと思います。 検察が考えうる一番重い刑を求刑してくださったので報いられたと思う」とこの日の公判を振り返り会見で心境を語りました。

一方で、初日の被告の父親の証人尋問や被告人質問を振り返り「いまだに彼らはうそで固めているだけ。何も真実は明らかになっていない。彼らに真実を明かにさせるということは無理かなという思いがあります」と述べました。
また、被告が逃亡していた10年10カ月間について公判の中で立証が十分に行われなかった点について敏さんの代理人の河瀬真弁護士は「11年というのは堤さんにとっては1日1日が犯罪を積み重ねられているくらい厳しい毎日だったと思うのでそこをもっと審理する時間が欲しかった」と振り返りました。
裁判は12日に結審し、判決は6月23日に言い渡されます。

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