裁判後会見を開いた堤敏さん

2010年に兵庫県神戸市で当時高校2年の男子生徒が殺害された事件の裁判員裁判が神戸地裁で開かれ6月8日、被告人質問が行われました。 被害者の父親は裁判後の会見で「『知りません』『分かりません』という回答が多く真実が明白にされていない」と振り返りました。

神戸地裁の証言台

現在30歳の愛知県の無職の男は2010年10月、神戸市北区の路上で当時高校2年の堤将太さん（当時16）の首などを折りたたみナイフで複数回刺すなどして殺害したとして殺人の罪に問われています。 神戸地裁で6月8日に行われた被告人質問では、将太さんの父親・堤敏さんが事件当時の経緯や逮捕されるまでの被害者への思いなどについて被告に直接問いました。

「罪の意識ない」直接対峙の被告人質問を振り返る

被告人質問の中で被告が「被害者（＝将太さん）がこれから経験するはずの人生を私が奪った」と謝罪したことについては「謝罪にもなっていない。責任はないけれど謝罪するというのは納得がいかない」と述べました。
また、被告人質問の中で被告が「捜査段階での供述は逮捕当時28歳の自分が17歳当時の自分の気持ちを推測して述べていた」と明かしたことについて敏さんの代理人を務める三宅勇気弁護士は「捜査段階の供述を振り返り裁判の段階で『実は推測でした』と打ち消しにできるような答弁内容だった」と分析しました。 6月9日は2度目の精神鑑定を行った医師の尋問が行われ、12日には敏さんら被害者家族5人が遺族としての心情を述べる予定で判決は6月23日に言い渡される予定です。