【特集】神戸市北区高校生殺人事件 初公判前に父親が心境語る

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  • 堤敏さん

  • 殺害された堤将太さん

  • 情報提供を求めるチラシ

2010年に神戸市北区で高校2年生だった堤将太さんが殺害された事件は6月7日に初公判を迎えます。逮捕を願い続けた10年10カ月。裁判を控えた父親の心境を取材しました。

【殺害された堤将太さんの父 敏さん】
「この公判絶対、後悔したくないし一歩も引きたくないし。1ミリも譲りたくないって思いがある」

まもなく始まる裁判、堤敏さんの胸の中にあるのは理不尽に命を奪われた4人きょうだいの末っ子・将太さんへの思いです。

2010年10月4日。午後10時45分ごろ、事件は起きました。神戸市北区筑紫が丘の路上で友人と会っていた高校2年生の堤将太さん(当時16)が何者かに頭や首などを刺され殺害されました。

目撃証言や物証が少なかったことで捜査は難航、遺族自らがビラを配るなどして情報提供を求めました。

【2020年のビラ配りでの敏さん】
「気持ちは事件当日や翌日と同じ。なんで、どうして、それが知りたい。本当に小さいことでもいい。それが犯人逮捕につながる可能性は十分ある」

見えてこない事件の真相と犯人の姿。事件が急展開したのは発生から10年10カ月が経った2021年8月。現場近くに住み、その後愛知県に転居した当時17歳だった元少年の男が殺人容疑で逮捕されました。

犯行を認める供述をしている一方で現在に至るまで男から謝罪の言葉はありません。男の逮捕によって再び動き出した事件、堤さんたち遺族の事件の向き合い方にも変化が表れます。

【敏さん】
「一言で言ったら暗中模索。手探りで。何をしたら犯人がもともとは捕まるかなということから始まって捕まった…。次はどうしたら真実が知れるのかなというような全部手探り、手探りで動いてきたから。
絶対にこの公判で僕らが息子の思いを代弁してあげるということだから、それができるかできないかって今それだけを考えています」

6月7日から始まる裁判では残された家族全員が被害者参加制度を利用し法廷で意見を述べます。

【敏さん】
「僕らの親の代で事件を終わらせて彼らには背負わさないように、背負わさないようにって僕の中ではある程度配慮してきたつもりなのですが、長男、娘2人、家内もみんなそれぞれ自分でちゃんと向き合いたいと。傍聴席から経過を眺めるんじゃなしにちゃんと自分で向き合いたい。子どもたち3人ともそう言うので、全員、参加制度の申請をしました」

将太さんを含めた家族全員で裁判に臨みます。

【敏さん】
「改めて事件を見つめ直していくやんか。見直していくやんか。その中で将太の写真を見てお前、とんでもないことをされたんだなと思った。
公判に出席してやるのは僕らだから。将太が出席できるなら一番いいけど僕らだから。これがとりあえず将太のためにできることの一番大きな最後のことかなと思う」

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