目指せ世界チャンピオン 南あわじ市の中学生ボクサー

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南あわじ市の三原中学校。男子生徒が放課後の時間を楽しんでいます。

一見ごく普通の少年の、もうひとつの顔がこちら。中学3年生の池田直生さんは、ことし3月、学生の全日本UJフレッシュボクシング大会の54キロ級で優勝したチャンピオンです。

【同級生】
「素直に、自分の身近にいる人がすごいことできたのは尊敬できる」
「(普段は)全然違います。普段はもっとふざけている」
「やる時になったらスイッチ切り替わって、別人みたいに変わるとこはすごいと思う」

【三原中学 藤田美穂先生】
「授業中は自ら手を挙げて発表したり、活発な生徒さんです」

学校から帰ると、すぐにボクシングの練習に励みます。

立派な練習場に見えますが、実はここ、直生さんの自宅です。父親の悟さんが直生さんのために自宅にトレーニングルームを作りました。

【父 悟さん】
「たまたま家を建てるタイミングになったので、それなら作ろうかなと」

【直生さん】
-これは何のタイム?
「2分動いて間1分休憩のタイムです」

悟さんも、仕事の合間を縫って直樹さんのトレーニングパートナーを務めます。43歳の体には少し厳しそう。

トレーニングルームに飾られているトロフィーは、ほとんどが空手のものです。直生さんがボクシングを始めたのは小学6年生の時。それまでは空手を習っていました。

【直生さん】
「蹴りばっかりでパンチが下手だった。パンチの練習を主にしたいなと思ってボクシング」

空手のために始めたボクシングでしたが、いつしか空手よりのめり込んでいきます。

【両親】
-練習の音が聞こえますね
「聞こえる」「そうそう」

【悟さん】
-心配ごととかは?
「心配はないですね。まったくないですね」

まったく心配はしていないという悟さんに対して、母親の直美さんはちょっと違うようです。

【母 直美さん】
「成長期なので、減量はなしで食べたいものを食べてその体重で挑む。一切やってないです減量は」
-心配したことは?
「試合に勝つよりも無事に試合が終わってくれることの方が、私はすごく思います」

淡路島にはボクシングジムがないため、直生さんは神戸市内のジムに通っています。

南あわじ市のこのバスターミナルも、すっかり馴染みの場所です。バスを待っているとこんな出来事がありました。

【女性】
「サインとかある?私たち撮ったらいやよ」
【直生さん】
「サインですか?サイン書いたことないんですけど、名前だけでいいですか?」

地元の人に頼まれて、初めてサインを書きます。

高速バス乗り場に飾られた肩書のないサイン。いつかチャンピオンと書き込まれる日を待っているようです。

バスは一路神戸へ。

【直生さん】
-バスで舞子まで通うのはいつから?
「中学1年生の夏ぐらいから。それまではお父さんの送り迎え」
-ひとりで行くの寂しくなかった?
「寂しいというか怖かったです。心配だったです」

自宅からボクシングジムまでは片道1時間以上かかります。直生さんが通うのは、日本ランカーも所属する垂水区のSUN-RISE BOXING GYM。

「ストレート打って、きのうやったみたいに足を閉じなければダメだ」

直生さんを指導するのは、江藤日出典会長です。直生さんを指導するに当たって、空手のくせを修正するところから始めたそうです。

【直生さん】
「空手って全部手打ちなんです。蹴るためにも手を出しながら蹴る。回したら蹴れなくなる。体回転できないし」

【SUN-RISE BOXING GYM 江藤会長】
「結局、空手は押忍押忍(直線の動き)じゃないですか。ボクシングは円の動きだから、それが斜めになったり。だから来た時に全部修正しました」

会長が簡単に受けているパンチも、近くで見るとこのスピード。

【江藤会長】
「ボクシングの才能よりも、努力する才能が一番すごい。一番必要なものが備わっている。それで勝手に才能が伸びていっている」

【直生さん】
-ジムに通うメリットは?
「パンチのレパートリーや、打った後に打ち返してくれるところとか」

練習を終えて家路に就く頃は、すっかり夜。帰りのバスに乗るのは夜9時です。

【直生さん】
「強くなって世界を獲りたい」

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