2023年05月10日(水曜日) 23:18 地域・まち報道特集・ドキュメント新型コロナ

新型コロナワクチン後遺症を訴える兵庫県内の高校教諭と大学教授~学校現場の理解と子どもたちのサポートを~

新型コロナワクチン接種後、1年半にわたって体調不良を訴える兵庫県内の大学教授(40代男性)と高校教諭(50代女性)がいます。現在も体調不良が続く教員が社会に訴えたいこととは?

教授も教諭もワクチン接種後から1年半続く体調不良

兵庫県内の高校の教諭

大学教授のもとを訪れる高校教諭「頑張って来ましたよ。今、生徒さんに(車いすを)押してもらって来ました」

兵庫県内の大学教授と高校教諭。2人が共通しているのは、新型コロナワクチン接種から1年半続く体調不良です。

高校教諭「学生が困っているから私が助けたいんですという話をしたら、この先生も僕もそう思いますって」

大学教授「同じように苦しんでいる方もいらっしゃるんじゃないでしょうかね。やっぱり打ったお医者さんに…」

高校教諭「責任を取ってもらわないとね」

大学教授「(打ったお医者さんに)副反応疑い報告をちゃんとしてほしい」

兵庫県内の大学教授

県内の大学で教授を務める40代の男性。2021年10月、ファイザー社製の2回目のワクチンを接種した後から1年半様々な体調不良が続いています。

大学教授「とにかく脳の症状というか、めまいというか、クラクラというか。それが本当にしんどいですよね」

心電図や心エコー、脳のMRIなど検査をしても異常なし。これまで難なくこなした100分の講義も事前に準備した動画を入れたり休憩を入れたりして臨んでいます。

大学教授「家族ですらやっぱり疲れでしょという風に言われていて、これだけ長くしんどさが続くので、ようやくやっぱりそれちょっと違うんじゃないかと気づき出してくれたというか」

体調に波 1年半続く慢性的な倦怠感

自宅で寝込む高校教諭

兵庫県内の高校教諭の50代女性。ワクチン接種から1年半休職しています。

高校教諭「ワクチンを打った日も午前中に授業をして。土曜日だったのでお昼から学校を抜けて地元のクリニックに打ちに行ってこれです。バターンって。ありえないでしょ。考えられることはワクチンしかないじゃないですか」

「こうやって今しゃべっただけですごく疲れて体がだるくなって真っすぐ座っているのはもうだめなんです。いいですか?1回休んでいいですか?」

カメラマン「ゆっくりしてください」

調子がいい時は歩くことも可能ですが、体調に波があり、ほぼ1年半寝たきりです。

高校教諭「見た目は普通やし、全く理解されないし、ずっと寝てばっかりで。家族ですらなんでそんな寝てばっかりするのって」

2021年9月にファイザー社製の1回目のワクチンを接種した翌日、体が動かなくなり救急搬送。1カ月入院し、現在も自宅で療養中です。元気だった担任の先生が突然学校に来なくなり、生徒たちに動揺が走りました。

先生が学校に来ない…

高校教諭の教え子

教え子「初めの方は全然説明を受けていなくてなんでなんだろうと思って。いつかは来るかなと思っていたら全くずっと来られなくなって卒業という感じでした」

高校教諭は、大学病院や総合病院で検査をしても異常は見つからず、現在も頭痛やめまいなどに苦しんでいます。

高校教諭「大人の私ですらこんなにしんどいのに、こんなことを子どもが経験していると思ったらもう居ても立っても居られずに。ほんまに困っている子がいるから自分の体にむちを打ってやっているんです。ほんまに分かってほしいんですよ。別に私はこんなん(取材)やりたい訳でもなんでもないんです。でも、誰もやらないから」

患者の会を通じて、ワクチン接種後に体調不良で苦しむ生徒や学生が全国にいることを知った高校教諭。学校現場に理解と支援を訴えたいとサンテレビに取材の申し出がありました。

高校教諭「大人もいっぱい苦しんでいるけど、いろんな問題たくさんあるんです。まず目の前の子どもから救ってあげてほしい」

自宅での往診を受け入れてくれたのが、200人以上のワクチン接種後の後遺症を訴える患者を診てきた長尾和宏医師。ワクチン接種による慢性疲労症候群と診断しました。

長尾和宏医師「その先生は慢性疲労症候群プラス、右の腕が死ぬほど痛い。足も。神経炎」

神戸で患者や家族が講演

後遺症を訴える患者の母

2023年3月、長尾医師の呼びかけで、ワクチン接種後の後遺症を訴える患者や家族が神戸で講演しました。

ワクチン後遺症を訴える娘の母は「一時寝たきりになりました。娘は当時12歳。小学校6年生でした。小児科の先生にコロナワクチンが原因ではないですかと相談しましたが、0.3ミリを1回接種されただけでしょうと相手にしてくださいませんでした」

教え子

 

体調不良で参加できなかった高校教諭に代わって教え子が先生の思いを伝えました。

教え子「私たちは高校3年生の時に突然理由も分からず、担任の先生がいなくなってしまいました。ワクチンの後遺症で診察してほしいと伝えると12軒もの病院に拒否をされ、たらい回しにされました。あなたは精神疾患だから心療内科を受診しなさいなどひどい言葉も言われたそうです。ちゃんと治療を受けたい人が適切な治療を受けられる世の中になってほしいと考えています」

大学の社会保障の授業で国の制度の問題点を講義

講義で制度の問題点を話す大学教授

大学教授は、自身が担当する社会保障の講義に高校教諭を招きました。そこで、6月に発表予定の紀要論文コロナ後遺症とワクチン後遺症患者の医療や生活の問題について授業を行いました。まず語ったのが国の健康被害救済制度の問題点です。

大学教授「まず被害者自身が医療にかかった領収書を全部そろえないといけない。カルテ診療録というのを集める必要があるんです。私の場合は12の病院にかかりました。私ワクチンを打つ前なんてほとんど病院に行っていませんでした。12の病院にかかった場合、12の病院の領収書と、診療録というカルテを集める必要があるんですね。カルテを集めるためにはお金がかかるんです。私の場合、かかる病院とかからない病院とあったんですけど、カルテの発行手数料って本人負担なんですよ。しかもこれ、救済制度で認められたからと言って戻ってくるものでもない。私いろんな方とこの件について話をするんですけど、出すのを諦めている方もいます」

健康被害救済制度の認定件数(5月8日現在)

これまでに健康被害救済制度には7473件の申請があり、5月8日現在、2595件が認定されています。厚労省は審議会の回数を増やして対応していますが、申請数が多く、6割が審議に入っていないなど、全く追いついていません。

高校教諭は申請から1年半が経ち、健康被害救済制度の医療費と医療手当が認定されました。

 

副反応疑い報告制度での報告は本当に実態をとらえているのか?

健康被害救済制度の認定件数(5月8日現在)

講義では、医療機関などから国に報告される副反応疑い報告制度についても意見を述べました。

大学教授「お医者さんがこれはワクチンの影響だなという風に認めないと医療機関から副反応疑い報告が上がらないんです。私これ副反応ですよと。病院から副反応疑い報告を上げてくださいよと言ったんですけど、認めないんです。かなりお医者さんの裁量が大きいです。だから亡くなってしまった方でも副反応ではないとお医者さんがそう思ったら副反応疑い報告に上がらない。副反応疑い報告の件数も、本当に実態をとらえているかどうか微妙だということを知っといてほしいなと思います。現にここに認めてくれない人がいる」

※副反応疑い報告は患者自身での報告も可能です

 

大学生に語る高校教諭

 

高校教諭は直前まで教室内で寝込んでいましたが、10分ほど自らの経験を伝えました。

 

高校教諭「ワクチンを打ってからこんなことになりましたと言っても、ワクチンでそんなことになりませんよ。精神科の方に行かれてください。うちは診ません。血液検査も拒否されましたし、打った病院なんて営業妨害。出ていけって。病院の外まで出されて鍵までかけられました」

「仕事ができないんですよ。学校の先生が大好きなんですよ。でも立てないんですよ。

どうしても伝えたい。学生、生徒、児童さん困っている人が本当にいています。子どもたちのためにこれはおかしいよって。何か救済制度が必要じゃないですか?と訴えたいと思っています」

出欠の取り扱いについて

新型コロナ後遺症、ワクチン後遺症(遷延する症状)を訴える患者について、文科省によると、学校の出欠扱いについて明確な基準はありません。指導要録によれば、(専門家の意見を聞いた上で)校長の判断に委ねられます。つまり学校によって対応が異なるそうです。見た目では分かってもらえないからこそ苦しんでいる人たちがいます。社会の理解、そして学校現場での理解が求められていると思います。

 

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