物流「2024年問題」まで1年 県内の中小企業の今に密着!

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みなさんは物流業界が大きく変わると言われる「2024年問題」を知っていますか?法律の改正でトラックドライバーの時間外労働に対する規制が強化されることなんですが、私たちの家に荷物が届かなくなる事態も懸念され、現場は対応に追われています。吉本アナウンサーが取材してきました。

長時間労働が課題となっているトラックドライバー。働き方改革によって時間外労働の上限が来年4月から年間960時間に規制されます。

ドライバーの労働環境の改善が見込まれる一方で、「2024年問題」と言われ、懸念されることが…。兵庫県トラック協会に話を聞きました。

【兵庫県トラック協会 専務理事 西川孝秀さん】
「3人でまかなえている仕事が運転手が4人、あるいは5人必要になると、どうしてもドライバーの不足をするという事態になりますし、それによって今まで通りの荷物が運べなくなるという状況がおこるという風に予想されています」
「2030年には今の荷物の35パーセントくらいが運べなくなるという予測がされています」

ドライバー不足で心配される輸送量の減少。時間外労働は削減されますが、ドライバーにとっては収入の減少にもつながります。

-実際に働き手としてはどんどん時間が短くなるのは嬉しい?
「単純に時間が減ったからうれしいですという風にはならないかなと。収入の面もキープないし、増やしながら時間を減らしていくかということが求められているんで」
「早く帰るだけだと(お給料が)寂しいねとなったら嫌じゃないですか」

「2024年問題」を乗り越えようと若者の採用に力を入れる会社があります。神戸市にある梱包や引越しなどを行う運送会社平戸梱包運送です。

引っ越し会社のイメージをくつがえす広告を出されたとということでやってきたんですが、その広告がこちら…。

求める人材について「『元気で明るくマッチョな人』そんな必要ありません!」と書いてあります。

-なぜこの広告を?
【平戸梱包包装 平戸伸和代表取締役】
「もともと人手不足がありましてね。それで最初は体力がある人募集と書いてたんですけど、そもそも引っ越し会社さんで体力がある人が募集って書いたらむちゃくちゃ体力がいる人でないと来ないのではないかと。ハードルを高めてしまってるのではないかと思ったわけです」

人手不足を解消するため、3年前から高校生の新卒採用も始めました。面接を受けにくる人の多くは学生時代にこの会社でアルバイトを経験していると言います。

【面接】
「うちにずっとアルバイトに来てくれてるから、仕事の内容はよくわかってると思うんですけど…」
「社員さんたちの人当たりがよくて。だから、僕もその人たちと仕事がしたいと思ったから就職したいなと思ったんです」

従業員の退職を防ぐためワークライフバランスを重視。安定した給料を確保しようと、歩合制ではなく月給制を採用しています。

さらに、こんな取り組みも。

-ドライバーとなると、みなさん運転免許は持っている?
【平戸代表取締役】
「高校生とかは免許を持っていない方もいらっしゃるので、3年間会社にいていただいていたら免許代金は会社負担という制度を作って、新しいドライバーをどんどん取りたいなと思っていまして」

会社独自の支援が社員のやる気を生み、仕事の定着に繋がっています。

【若手ドライバー 久司翔大さん】
「会社が出してくれるので、それも(会社に)入ろうかなと思った理由のひとつです。僕が免許を取ったところは35万円くらいですね。それを出してもらえるのは助かります」

兵庫県多可町にある運送会社・新興商運も「2024年問題」を見据え動き出しました。

-ここはどういうところなんですか?
「移動式ラックというのを導入した倉庫になります」

今年1月、西脇市に延床面積1000坪の倉庫を新設しました。この倉庫が長時間労働の短縮に一役かっています。

顧客の製造業者から在庫品を一定量預かっておくことで出荷時のトラックの待ち時間、いわゆる「荷待ち時間」を減らすことが期待できます。

また、人手不足の解消に女性の採用にも積極的に取り組み、去年、念願の女性ドライバーが入社してきました。

【新興商運 西村星南さん】
「車が好きで運転するのも好きなんですけど、大きい車を運転したいと思って それでトラックを選んでトラック運転手になりました」

力仕事に自信のない女性に対し、働きやすい環境づくりも行われています。

【新興商運 田正司 知祐代表取締役】
「極力重たい荷物を手摘み手おろしをしないといけない場合に関しては、配車上、仕事を配る段階で女性にはつけないようにしていますし、極力みんなが負担感なく平均的な仕事になるような段取りは組んでいます」

可愛らしいハンドルやブレーキカバーは先輩からのプレゼントです。

西村さんの入社で会社の雰囲気も変わりました。

「いるだけでやっぱり華やかになりますね。男性だけの職場と女性が一人いるだけでも雰囲気が変わる」

-どんなドライバーになりたい?
【西村さん】
「今、会社の大型に乗っている先輩方みたいなかっこいい大型トラックのドライバーになりたいです」

社長も西村さんら女性の活躍に期待を寄せています。

【田正司代表取締役】
「人手を確保していく中でも、女性というのは圧倒的にこれから必要とされるキーワードになってくるのではないかと思っています。彼女がいることでこれから新しい女性がどんどん働きやすそうだなと思ってきてくれたらとても嬉しいですよね」

2024年の法改正まであと1年。地元企業は既に動き出しています。

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