児童「おはようございます」

兵庫県加古川市立平荘小学校での、あさの登校風景です。
地域のボランティアが、交差点で子どもたちを迎えます。

児童「おはようございます」
ボランティア「おはようございます」

そして、校内でも。
児童「おはようございます」

この日は、あさのあいさつ運動が行われていて、登校した児童から順番に参加。
全校児童１３４人のうち、３０人近くが登校してくる友達に声を掛け出迎えました。

このあさの風景が、いま県内の学校が取り組む「地域から学ぶ災害への備え」につながっていました。

２０２２年１２月。平荘小学校で、特別授業が開かれました。
４年生の児童２５人が、阪神淡路大震災当時の映像などを視聴。
「震災を学び伝えることの意味」について、それぞれが話し合いました。
その中で…

児童「地震とかもしあったとしても（顔を）知っているから、会わなくなったら心配してくれると思う」
児童「いろんな人とあいさつをして、地域の人たちなどに助けてもらえるようにしたり、普段からあいさつをして地域の人と交流を深めて自分たちの顔を覚えてもらったり…」

子どもたちから、「普段からのあいさつが災害時の助けにつながる」という意見が出ました。

進藤校長「地域の皆さんは常に温かく見守ってくださる。その見守りの中には、コミュニケーションがあって、その一つに、あいさつが大きく影響していると思う」

こう話すのは、平荘小学校の進藤香代校長です。
平荘小学校ではこれまで、「命の大切さ」について考える特別授業を開いていて、
２０２２年９月には、東日本大震災の被災者に「早く春が来るように」という思いを込めて、手のひらで桜の木を描く「命の一本桜プロジェクト」に参加しています。
今回、子どもたちから出た意見は、これまで取り組んできた震災学習の経験に加え、子どもたち自身が地域とのつながりの大切さを感じているのではと進藤校長は話します。

進藤校長
「自分が困った時に近くに保護者がいなくても道中の中で知っている顔ぶれがあった時にすぐ声が掛けられる。反対に声を掛けていただける関係ができていると思う」
進藤校長
「自分たちでは分かっていない当たり前になっているかもしれないが、当たり前の中に強いきずなが出来上がっているというのが、一つの例でみても確かめられると思う」

また、地域にとっても大切なつながりだと話します。

地域ボランティア山本さん
「地域にとってもあいさつ、子どもたちの見守りを通して、地域や子どもたち、学校とつながっているなと日々感じる」
「子どもを中心に地域の方が集まってくれて、子どもたちがつながりをつくってくれたなと感じた」

地域とのつながりから学ぶ災害への備え。
防災や減災を専門とする兵庫県立大学大学院の阪本真由美教授は、いま県内の学校を中心に進められている特徴的な取り組みのひとつだと話します。

阪本教授
「地域と連携した防災教育に力を入れていて災害が起きるのは学校だけではなくて日常生活している場面や場所に応じて自分で状況を判断して行動できるそういう教育の取り組みが大事にされている」

兵庫県内の小中学校や高校では、地域にあった防災教育に取り組んでいて、養父市の八鹿青渓中学校では、生徒自らが自宅周辺の状況を確認し、災害時にどこに避難するのかなどを地図に書き込む「マイハザードマップ」を作成。
また、香美町の香住第一中学校では大雪などの被害を想定し、安全に帰宅するための行動を考える学習プログラムを実践しています。

阪本教授
「地域のハザードリスクを地域の人と一緒に知る、子どもたちが地域に出て自分たちで周りの人たちの話を聞いて避難を考えるみたいな取り組みが増えてきている」
「それぞれの地域の特性に合って、かつ地域と連携した取り組みというのが大事にされている」

２０２３年１月１７日。
平荘小学校で、避難訓練が行われました。
学校は海岸から遠くにあるため津波の被害はないとされていますが、災害時に自分たちが海岸近くにいることも考えられるため、訓練では、建物の上に逃げる垂直避難なども行いました。
また、児童同士が声を掛け合い、一緒に避難する姿もありました。

児童「僕は自分の命も友達の命もなくしたくありません」
児童「自然災害はいつ起きるか分かりません　だからこそ日頃からいろいろな人とのつながりを大切にして生きていきましょう」

進藤校長
「ひとつ立ち止まって、あいさつについて考えるとか学校と地域のつながり、自分と地域のつながりというのも学びや行事の中で立ち止まりながらもう一回必要性を考える機会になればと思う」

地域にあったそれぞれの備え。
震災を知らない世代がつなぐ新たな防災が始まっています。