2023年02月28日(火曜日) 18:18 報道特集・ドキュメント新型コロナ

厚労省はなかったことにしないで!~新型コロナワクチン接種後に亡くなった遺族の声とワクチン接種者の致死率のデータ~

2月15日、厚生労働省は、全国の都道府県に「新型コロナワクチンを接種後の副反応を疑う症状に関する研究への協力について」という通知を出しました。遷延する症状、いわゆるワクチン後遺症の実態調査を行い、今後、国はその治療法を含めて必要な研究を行っていくことが記されています。

 

病院にたらい回しされ、医師も向き合ってくれない。報告もされない。報道もされずに泣き寝入りのような状態の人たちがいます。「なかったことにしないでほしい」という声を取材しました。

【医療学会で相次ぐワクチン接種後の死亡や副反応に関する症例報告】

全国有志医師の会HPより

 

国内の医療学会で新型コロナワクチン接種後の死亡症例の報告や副反応に関連する発表があったリストです。その内容は、心筋炎や帯状疱疹にとどまらず、さまざまな症例報告が全国の病院や大学の医師たちから報告されています。学会で発表があった数はこの1年間で300件を超えました。

 

国の副反応疑い報告制度では、医療機関などからPMDA・医薬品医療機器総合機構を通じて厚労省に約2000人(2022年12月18日時点では1967人)がワクチン接種後に亡くなったと報告されています。

 

【遺族の声 なかったことにされるのがすごく悔しい】

亡くなった男性の兄と姉

 

このうちの1人、兵庫県内の56歳の男性。1周忌の法要の日に男性の兄と姉が取材に応じました。

 

男性の兄

「ワクチン打つまではめちゃくちゃ元気な人間が打ってからずっと苦しんでいて最期、誰に看取られることもなく亡くなった。これはおかしいでしょ」

 

兄が経営する会社で、2人は29年間仕事をともにしてきました。

 

男性の兄

「周りの人をすごく思いやる人間やったんで。コロナにかかっても困るから、僕1人でも打つわと」

 

男性は2022年2月、西宮市の集団接種会場で、3回目のモデルナのワクチンを接種。男性は翌日から寝込んでしまいました。

 

男性の兄

「次の日に聞いたらもうめちゃくちゃしんどい。もう倦怠感はあるし食欲はないし、すごくしんどいって」

 

2日後も3日後も体調は回復せず、男性は、1週間後、かかりつけ医のところに行く途中で倒れてしまい、タクシーで自宅に戻りました。

 

男性の兄

「自宅マンションの階段の踊り場で倒れていた」

 

心配して駆け付けた兄が発見した時には、すでに息はしておらず大学病院に運ばれるも死因は不明。医師からは「解剖してもワクチンが原因とは分からない」と伝えられ、兄は解剖を断念しました。

 

男性の兄

「(解剖を)やらなかっていい方に思いたいんですけど。ただね…。後からなんか今回、弟がワクチンで亡くなったということが、なかったことにされるというのがすごく悔しくて。これは絶対あかんと思って」

 

【3学会が共同声明を発表 積極的な病理解剖・法医解剖を】

2022年7月学会の声明

 

この5カ月後の2022年7月、日本病理学会と日本法医学会、日本法医病理学会は積極的な病理解剖、法医解剖を推奨するよう共同声明を発表していました。大学病院の医師からワクチンの副反応の疑いとしてPMDAに報告がなかったことから、兄はかかりつけ医などから報告してもらいました。

 

男性の兄

「弟が自分みたいな犠牲者を増やさないことを訴えているような気がする」

 

 

3回目の接種を反対していた男性の姉。姉は1回目と2回目のワクチン接種後に帯状疱疹や蕁麻疹が現れて関連を疑うも医師に笑われたそうです。弟の死について兄と姉は闘うことを決めました。

 

男性の姉

「うやむやにされて、ワクチンなのにそれこそ違う病名で付けられている方。少しでも人の輪が広がってみんなと一緒に声をあげられる形になればいいなと思っています」

 

【ワクチン被害者遺族の会の「繋ぐ会」】

2月3日仙台での記者会見 須田睦子さん

 

これまでに257人の遺族から相談がありましたが、相談者の8割が、亡くなっても副反応疑い報告制度で報告されなかったそうです。国内では、病理医が解剖し因果関係ありと報告した人ですら因果関係不明と覆され、1人も因果関係が認められた事例はありません。因果関係の認定を求めて、繋ぐ会では、現在、54人の遺族が集団訴訟の準備を進めています。36歳の夫を亡くした女性は、記者会見で窮状を訴えかけました。

 

夫を亡くした須田睦子さん

「どこも助けてくれないし何も責任もとってもらえないし、何よりも亡くなった家族って帰ってこないですね。私も子どもたちも一生夫に会えないんですよ。その時お腹にいた子も父の顔も何も知らずにこれから過ごしていかなきゃいけないし、メディアに対する信用も全部なくなりました」

 

ワクチンによる健康被害 患者会と遺族会

 

健康被害がなかったことにしてはいけないと、患者や遺族が立ち上がっています。まずは新型コロナワクチン後遺症 患者の会についてです。各地で支部ができて、全国組織に広がっています。健康被害救済制度の申請に必要なカルテの開示を拒否するなど、非協力的な医療機関があることから、制度の相談、患者への情報提供、自治体に対する課題改善の要望を行っています。

 

続いてNPO法人の遺族会です。ワクチン被害者遺族の会の 繋ぐ会では、現在、集団訴訟に向けて準備を進めています。弁護士5人とともに訴訟の準備をしているそうです。

 

【厚労省はなかったことにするな!京都大学名誉教授が怒りの提訴】

福島雅典名誉教授

 

なかったことにされようとしているのは、遺族の声だけではありません。ワクチン接種後の国内のデータに関して厚労省が不開示とした事例について取材しました。

2月2日の東京地裁。京都大学名誉教授の福島雅典医師は、データの開示を求めて国に対して訴訟を起こしました。

 

京都大学 福島雅典名誉教授

「2000年に薬害防止の講座を立ち上げるということで京都大学に招かれて着任しました。以来一貫して薬害防止の科学とその研究と教育実践に尽力してきました」

 

福島名誉教授は、国内での65歳から79歳までのワクチン接種回数ごとの死亡率と重症化率のデータを開示するよう厚労省に請求しましたが、厚労省は開示しないと決定。その決定を取り消すよう東京地裁に提訴しました。

 

福島名誉教授

「私は深刻に日本の科学技術立国のこの国の科学と医学、これが問われている。リアルタイムのリアルワールドデータがあって、ビッグデータの解析だ。データサイエンスの時代だ。データが生命線だと言いながら全然それをきちっとやってくれていない」

 

【突然公表されなくなった致死率のデータ】

第50回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(2021年9月1日)

 

こちらは、2021年9月、専門家が厚労省に感染症対策を助言するアドバイザリーボードで厚労省がまとめたワクチンの接種回数ごとの致死率(死亡率)のデータです。期間を絞った調査で死亡者数が少ないことに留意する必要がありますが、65歳以上では、ワクチンを打っていない人の致死率が2回接種した人よりも高くワクチン接種によって致死率が下がっています。しかし、65歳未満では、ワクチンを打った人の方が、致死率が上回るデータに。これを境に全国の致死率のデータが公表されなくなりました。

 

福島名誉教授

「2021年9月を境に出さなくなった。致死率を。本来なら重症化率とか致死率とかデータがあるわけですから。だからこれを出しなさいと言っている」

 

アドバイザリーボードの場で、厚労省は、石川県、茨城県、広島県といった一部地域の一時期に限って致死率のデータ(ワクチン接種によって致死率が下がっていることを示している)を公表したことはありますが、全国のデータが公表されることはありませんでした。

 

福島名誉教授が厚労省に対し情報開示を求めましたが、回答は、不開示でした。

 

 

福島名誉教授

「(厚労省が)不開示とした理由。『上記1の文書については事務処理上作成又は取得した事実はなく』 おかしいですね。前にやっているわけですから。『実際に保有していないため不開示』とした」

 

福島名誉教授は、これとは別にワクチンの安全性に関わる非臨床試験や臨床試験で生じた有害事象のすべてのデータの開示。さらに、ワクチン購入の契約内容について国民に開示するよう厚労省に請求しました。

 

福島名誉教授

「たくさんのお金を使ってじゃあ国民の手元に残ったのは一体何なのか。2000人を超えるワクチン接種後の死亡症例の集積、さらにもっと増えると思うし、報告されていない死亡例もたくさんある。だからそれは氷山の一角と我々医者は見ています。だからワクチンが本当に効いているのか。それによって重症化率が下がっているのか。死亡率が下がったのか。これは検証しないといけない。国としての義務でしょうということを私は申し上げたいのです。

それからたくさんの被害者に対して直ちに救済措置を取るべきだ」

 

福島名誉教授は、今後、健康被害を訴える人に対しての診断基準やどのような医療をすべきかの診療ガイドラインを作成し、海外の研究者ともに因果関係を調べる方針です。

 

【厚労省 「データはあるが」と回答】

HER-SYSとは

 

国内では、HER-SYS(ハーシス)というシステムが存在し、感染者の情報や、ワクチン接種回数(2022年9月25日までは全数把握。以降接種歴の項目がなくなる)などを把握することができます。2021年9月のアドバイザリーボードの資料で、このHER-SYSをもとにワクチンの接種回数ごと、年代別ごとの致死率が公表されました。そこで、厚労省に致死率のデータについて問い合わせをしました。

 

Qなぜ公表されなくなったのでしょうか?

厚労省の回答

「2021年9月に発表時点で、死亡報告の7割しかデータが入力されていなかった。入力率が低くなった。データに妥当性がないので基本的に作成していない」

 

2021年9月8日の第51回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、参考人から「死亡者数のデータがちゃんと取り切れていないのでこのデータは適切ではない」と指摘があり、厚労省は作成しなくなったそうです。

 

Qでは、その後、全国ではなく、なぜ石川、茨城、広島の3県の致死率のみ公表したのでしょうか

厚労省の回答

「作業が膨大で都道府県への入力の負担を考えて、全県にはお願いしなかった。3県のみに追跡をお願いした」

 

サンテレビの取材に対する厚労省の回答

 

HER-SYSでは、ワクチン接種回数ごとの感染者数の統計をとっていた時期がある。致死率のデータもあるはずだと、下記の質問をしました。

 

Q2022年9月までのワクチン接種回数ごとの致死率のデータはあるのか

厚労省の回答

「データはあるが、死亡報告の入力率が低くデータに妥当性がない」

 

厚労省は「データはあるが」と答えました。福島名誉教授の情報開示請求に対しては、加藤厚労大臣の名前入りで、「事務処理上作成又は取得した事実はなく、実際に保有していないため不開示」と記されています。「事務処理上、作成はしていない」かもしれませんが、「データはある」。つまり「保有していない」とは言えないのではないでしょうか。

そして、HER-SYS(ハーシス)に、VRS(ワクチン接種記録システム)をリンクすれば、データを出すことができるので、厚労省が実行するかどうかの問題です。

裁判所はデータの開示についてどう判断するのか注目されます。

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