阪神淡路大震災から28年が経過しました。震災の記憶の風化が懸念されますが、「1・17希望の灯り」を使い、独自の方法で震災を伝え続けようとする人がいます。
神戸・三宮にあるガラス工芸品の展示や販売を行う「KOBEとんぼ玉ミュージアム」に行ってきました。こちらは館長の宮本恭庸さんです。
館内にはバーナーでガラスを溶かす「ランプワーク」という技法で作られた、古代から現代までの貴重なガラス工芸品およそ2000点が展示されています。
【KOBEとんぼ玉ミュージアム 宮本恭庸さん】
「ガラスの歴史は古くて、紀元前15世紀、3500年前からこのガラスは作られていたと言われています。その頃は色形自由に作られるという意味では宝石以上の価値があったと言われています」
【宮本さん】
「当館は震災を機に、震災10年にあたる2005年に開館しました。国内外の作家から神戸の応援メッセージとともに、作品を寄贈していただいた展示となっています」
宮本館長はかつて三宮で日本料理店を経営していましたが、1995年の阪神淡路大震災で店が全壊。大切な思い出の品がことごとく失われていく惨状を目の当たりにし、物の大切さを伝えて行きたいと思い、このミュージアムをオープンしました。
【宮本さん】
「手作りの温かさというか、大事に使っていただきたいというような作品を紹介したいと思って。
(とんぼ玉は)まだまだ今ほど知られていなかったので、その魅力を色々ご紹介したいなとこのお店をオープンしました」
中には海外の有名なアーティストが手がけた作品も展示されています。
【宮本さん】
「震災を機に開館したミュージアムですので、そういった思いを伝えられたらということで、東遊園地に灯っている『1.17希望の灯り』の灯をもらい受けて、そういった思いを込めて、製作実演ですね、デモンストレーションしていただいた(ガラス作品)何点かを展示しています」
震災犠牲者を追悼するため東遊園地に設置されているガス灯「1.17希望の灯り」。火はそれぞれの場所で行われる追悼行事で役立てられるため毎年「分灯」されています。
宮本さんは震災をもっと身近な方法で感じてもらいたいと、開店当時から分灯された灯りを使って「とんぼ玉づくり」体験を実施しています。
まずは、ガラス棒を「希望の灯り」で熱します。
【宮本さん】
「十分に温まってくると、先から赤い火が出てきたのがわかりますか?
…だいぶ緊張してます?リラックスして」
高温でガラスを溶かす作業は溶けたガラスが垂れてくるので緊張する行程でした。そして、丸くなったところでガラスが熱いうちに模様となるパーツを貼り付けます。
そして、ここからが山場です。
【朝田アナ】
「あっ、いい感じに…」
【宮本さん】
「気を抜かないでください。集中して!」
きれいに丸く仕上げるためにこの行程は大変重要なんです。気を抜いているといびつな形に仕上がることもあるんだそうです。
そして、冷ますことおよそ1時間。我ながらきれいに仕上がったと思うんですがいかがでしょうか?
「とんぼ玉」はオプションでストラップやひもを付けてキーホルダーやネックレスなどに加工することもできます。私はペンギン模様のとんぼ玉に、トリコロールカラーの輪っかをあしらいました。
「1.17希望の灯り」に触れることで震災を知らない人にも「震災」を知ってもらえればと宮本館長はこの体験を続けています。
【宮本さん】
「当館ならではの灯を使ってのミュージアムですので、ならではのやり方で震災を伝え続けたい」
「1.17希望の灯り」を使ったとんぼ玉づくり体験は1月31日までなんですが、宮本館長は4月から「1.17の希望の灯り」を案内し、灯に込められた思いやご自身の震災体験などを語る体験プログラムを始める予定だということです。