新年最初の特集は 神戸の都市型水族館「アトア」の舞台裏に迫ります。
新年の特別展示を担当する若手飼育員に密着。
準備に半年をかけたある生き物の飼育展示の結果は…。
神戸の都市型水族館「アトア」2年目の飼育員・宇田佳恵さん。
兵庫県宍粟市出身です。
魚類や両生類など18種類の生き物を担当しています。
「地元の水族館で新しくオープンする水族館だったんで応募しました。内定もらった時はうれしくて親に泣いて電話しました。」
午前8時40分。朝礼後、飼育員全員での水槽チェック。
複数の目で生き物の変化と展示方法をチェックします。
清掃は1つ1つ丁寧に。
生き物とお客さんのため、地道な作業が続きます。
難しい場所は専門のスタッフが潜って行います。
「出て来た?」
「出てきました。いっぱい」
宇田さんが卵を取り出しました。
先輩の東口課長がニシキマゲクビガメの卵の取り方や保管方法を教えてくれました。
「こうですか?」
「3分の1位(土に)埋めて置いていく感じ」
「そう」
「入れます。落としそう」
数か月に1度の生命の神秘です。
午前10時。開館。
行列を作っていたお客さんが中へ。
その頃…。
宇田さんは水槽でのえさやりなど忙しく動き回ります。
午後。2時30分。
球体水槽で宇田さんが担当するショーの解説が始まりました。
「それではこれからこちらの球体水槽で魚たちに餌をあげていきます」
「この水槽は全部で3種類のお魚が生活しています」
お客さんとの触れ合いが1番のやりがいです。
「いま年齢は30歳位。体重は90キロ近くございます。」
「お客様との会話の中で生き物について知って頂くことで、「あ、そういうこともあるんだと」という声を頂けたりすることがうれしくてやりがいと感じます」
宇田さん担当のアカメアマガエルです。
赤い目が特長でカラフルな体が人気です。
しかし夜行性のため、昼間は寝ていて動きません。
「コンパクトにまとまっているなあ」
「なんかツヤツヤしてますね」
「てかり具合とかがピーマンぽい」
「もうちょっと動いてくれた方が楽しめる」
夜。宇田さんは水槽に黒いシートを被せだしました。
2つある照明を1つ落とし、緑色に。
試行錯誤の末、カエルに、夜を感じてもらい、動きを引き出す方法を編み出しました。
「夜になると活発に動き出す夜行性の生き物なんですね」
「夜は起きている姿を見て頂きたいのでライトを工夫しています」
クリスマスイブの前日。
特別に新年の目玉企画を見せてくれました。
準備しているのはアカメアマガエルの子ども。
7月に生まれた卵を、半年間、大切に育ててきました。
「生まれた時から毎日つけているので…この飼育記録は私にとって大事なもの」
えさの量や大きさなどを記録したまさに母子手帳です。
「話しかけたりするんですか?」
「おはようとかは言ってます」
「答えてくれるんですか?」
「答えてくれないです。朝来ると寝ちゃってるんで。でも気持ちは伝わっていると信じています。」
手作りの水槽には、カエルの住み心地とお客さんの見やすさを計算して植物や岩を配置。
宇田さんのこだわりが詰まっています。
東口課長が水槽チェックにやってきました。
結果は果たして…。
「もうちょっと植えたら?こいつが赤色で1番主張するんやったらもうちょっと真ん中に寄せてったら」
「ありがとうございます」
「もうちょっとだ」
水槽で表現する生き物への愛とお客さんへの思い。
(東口課長)
「100点満点中30点くらい…これからまだまだ上がってくれることを願っています。まじめで言われたことをしっかりこなしていく。どんどん色々な事を経験していける人材、経験豊かな飼育員になるんじゃないかな」
悩みながら成長を続ける24歳の挑戦は今年も続きます。
「常に向上心というか探求心というかそういうのが大事。常に前向きで頑張ってます」