”3年ぶり” 灘のけんか祭りに密着

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姫路市にある松原八幡神社の秋の例大祭「灘のけんか祭り」。神輿を荒々しくぶつけ合い「天下の奇祭」とも呼ばれていますが、新型コロナの影響を受け去年・おととしと神事のみが行われました。

そして、ことし。祭りを前に神輿を奉納する「神輿奉据祭(みこしほうきょさい)」が執り行われました。

【八家(やか)地域総代 松本孝宣さん】
「村のほうでも本格的な準備を整えていきたいと思います。皆さん方の協力のうえ八家らしい八家の年盤をやりたいと思いますので、本番も含めご協力のほどよろしくお願いします。」

ことしの年番、八家地域の総代・松本孝宣さん。年番とは、祭りに参加する七つの地域それぞれに7年に1度回ってくる神輿練りの当番のことで、事前に前回の祭りで壊れた神輿の修繕作業を行うなどその年の祭りで重要な役割を担います。

【松本さん】
「非常にありがたい。この日を迎えられて。
ただ、3年ぶりということで、うちの若い子らもいきり立っているから、それが空振りしないようにね。怪我人続出では話にならない。」

3年ぶりの祭りに期待と不安を感じているのは、参加する練子たちだけではありません。

【お守りを買う女性】
「当日につける腕守り。縫い付ける用のお守り。旦那用と息子用と2枚。」
「待ちに待ったっていう思いなんですけど、やっぱり2年っていうブランクがあるので。
無事に怪我せず楽しく祭りが2日間できますようにって。女性の男性へ対する、練子の人へ対する思いで怪我せんようにって。」

松本総代の自宅で、総代の妻・淳子さんを中心にお守りを腕守りに縫い付けていきます。無事を願う思いを込めながら、一本一本丁寧に作られていきます。

【淳子さん】
「怪我無く無事に帰ってこれますようにって。何ものにも怪我が付き物の祭りですので、誰一人怪我が無いように、お守りが生きてくれることを願っています。」

3年ぶりにいつもの祭月が戻ってきました。

この日、八家地域では本格的な祭りの準備が始まっていました。

ことしの「けんか祭り」に参加する若者たちの中には、2年間の休止期間の影響で参加がかなわず、今回が初めての祭りという人も。

松本総代の息子・晃拓さんも練子として参加します。

【晃拓さん】
「やっぱり3年ぶりということで張り切りたいところ、頑張りたいところ一杯あるんですが、家族あって祭りができているという感謝の気持ちを持ちながら、無事に帰ってこれたらなと思っています。」

怪我無く無事に家族の元に帰るため。本番へ向けた練習は、夜遅くまで続きます。

練習を終えた練子達は祭りにかける思いを語り合い、気持ちを高めます。

【八家地域 祭典委員長 宮脇志郎さん】
「みんなの祭りをやっとう顔を見るのが楽しみ。(祭りが)終わった後のな、笑顔は何にも代えられへん。」

3年ぶりの通常開催となることしの祭り。松本総代は、ある特別な思いを抱いていました。

【松本さん】
「やっぱり技術の伝承、技能の伝承。3年ぶりでみんな明るく笑って帰っていただけるような祭りにしたいと考えております。」

待ちに待った祭りの日がやってきました。松本総代の胸元には、妻の淳子さんが無事を祈り縫い付けてくれた腕守りが。他の練子たちも腕にいろんな思いを巻きつけ気合十分です。

八家地域の練子たちは、神輿合わせを行う御旅山へと出発します。

-いよいよですね?
【松本さん】
「さぁ、今からや!今からメインイベントです。3年待ちましたんでね、楽しみです。まあ見とってください。」

総代を筆頭に、次々と神輿が練り場へ向かいます。

けんか祭りの一番の見せ場「神輿合わせ」。3基の神輿を激しくぶつけ合わせ、壊れれば壊れるほど神様の思いに届くとされ、八家の練子たちは命がけで神輿をぶつけ合います。

激しくぶつかり続け、ついに神輿はボロボロになりました。洗練された練り上げで会場は大いに沸き、八家地域の大一番は終わりました。

【松本さん】
「これだけの観客の前で伝統を守るって、下手なことはできひんので。それはやっぱり今ほっとしてます。(若い人・次の世代には)伝わったと思いますよ。次の世代の練子があの赤いやつです。一番若いやつ。一番元気が良かったし、伝わっとうとおもいますよ。」

3年ぶりの「灘のけんか祭り」。思いは次の世代にも引き継がれます。

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