女性だけの劇団が反戦ミュージカル 丹波篠山市のミュージカルカフェから発信

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松本カメラマン:
「今回は、ここ丹波篠山市にあるミュージカルカフェ・オズから、話題沸騰の上演作品を紹介したいと思います。」

丹波篠山市に2019年にオープンしたミュージカルカフェが、この「オズ・ブロードウェイ・シアター」です。

一棟の建物の中にミュージカルを楽しめるキャパシティー70人の劇場とカフェが併設されています。劇場は公演だけでなく、普段はダンススタジオとしても活用されます。

運営しているのは女性だけのミュージカル劇団「オズメイト」。ブロードウェイをイメージした内装のカフェで働いているのは、劇団の俳優たちです。

宝塚市に本拠を置く「オズメイト」は、本場ブロードウェイの技術を追求するミュージカル劇団になろうと、辻井奈緒子さんが1994年に立ち上げました。

辻井さん率いる「オズメイト」は2016年の夏、800以上の応募団体から審査を通過してニューヨーク国際演劇祭に参加。大江山の鬼伝説をテーマにした作品を上演し、現地で高い評価を受けました。

ニューヨーク公演の成功を経て、辻井さんは自分たちの作品を発表できる拠点を作りたいと考えました。

劇団「オズメイト」主宰 辻井奈緒子さん:
「私たちも芸術を発信する場所を拠点として作っておけば、お客さんにも気軽に観に来てもらえる。そういう場所を作りたいと思って探して探して、篠山のこの場所にたどり着いた感じです。
本当に篠山ってとてもいい所で、芸術を大事だと思っている方がすごく篠山に多いことに気づいて。」

ミュージカルカフェは、コロナ禍も乗り越えて営業を続けています。この日は、太平洋戦争をテーマにしたオリジナルのミュージカル、『ガランドウの虹』の準備が進んでいました。

戦後70年の2015年が初演という作品の再演は、ロシアによるウクライナ侵攻など、現在の世界情勢に危機感を覚えた辻井さんが決断しました。

辻井さん:
「未来を背負う子どもたちが、私たちが戦争をやってたことを知ってるのかなとか。あの時、日本はどういうことになってたか。子どもたちにちゃんと大人は教えられているのかなって。
それってなかなか言葉では難しいけど、ミュージカルだったらハートからハートに何かを感じてくれることができるし、何かの力になりたいと思って作品を再演することになりました。」

辻井さんはこの作品を再演するにあたり、劇団員たちに戦争の資料館や史跡に足を運び、戦争の悲惨さを学ぶことを求めました。

「オズメイト」劇団員 松本飛路さん:
「役として生きるっていうか、しっかり思いを伝えるということをすごく考えていて、うそをつかない芝居、演技っていうのをすごく目指してます。」

「オズメイト」劇団員 はるかさん:
「戦争を経験した方たちの人生をうそが無いように。実際に今も経験した方が生きていらっしゃるので、そういう方たちが観てくださっても、うそが無いように演じたいと思って挑ませていただきました」

『ガランドウの虹』が本番を迎え、地元の演劇ファンやダンススタジオの生徒らが次々と訪れました。

松本カメラマン:
「まもなく開演のようです。渾身の一作、見せていただきたいと思います。」

物語の舞台は、太平洋戦争の開戦から戦後にかけての日本です。

幼なじみの少年3人、少女1人が、10年後の自分に向けたメッセージを入れたタイムカプセルを、大木のうろに隠します。

この4人が戦時中に生きた過酷な現実を描きながら、戦後に漫画家になった1人が、自分たちをモデルに描いた漫画をアニメで紹介。その漫画の4人も舞台に登場して、現実の4人と交錯していきます。

♪『戦後の君へ。もし君が生きていたなら、今度は絶対、戦争なんか起こさない世の中に。小さな勇気を出してほしい』

熱い本番が終わりました。

観客:
「みんな歌がうまくて、ダンスも上手ですごい感動しました。」
「なかなか難しい世の中ですけど、こういうものを観ながら色々考えて、自分の頭で見て考えることが大事だなと思いました。」
「戦争っていうのは、本当に起きてはいけない事だなって思いました。」

辻井さん:
「平和を守るってことが世界の中でだんだん難しくなっていくのがすごく恐ろしいことなので、未来を作っていく子どもたちに戦争ということをちょっと考えてもらうきっかけになってほしいので、すべての方に観ていただきたい作品です。」

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