ろう者のダンサー「サウンド・マエストロ」 音のない世界から届けたい思い

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このほど、兵庫県福崎町で福祉のテーマソングが作られました。
耳が聞こえない2人のダンサーが音のない世界から手話とダンスで届けたいものとは。

音のない世界を生きる ろう者のダンサー
体を自在に操り、魅せる。踊っているのはダンスクルー「サウンド・マエストロ」。
彼らは音のない世界を生きています。
耳が聞こえない里勝弘さんと川越裕司さんは、プロのダンサーを目指しています。
【里勝弘さん】
「僕は音は聞こえないけれど、ダンスをしているのを見てかっこいいなと思って始めた」
【川越裕司さん】
「ステージに立って歌を歌われても聞えないけれど振動が伝わるので振動に合わせて踊っている」

この日、友人の阿部裕彦さんの呼び掛けで集まりました。
2人のダンスを生かしたユニバーサル社会を目指すテーマソングをつくるためです。
福崎町の大学に通う学生も今回、制作に参加します。ろう者と接する機会がない学生たちはLINEや筆談でコミュニケーションを取りました。
【神戸医療未来大学・大山楓子さん】
「話したいと思ったけどちょっとどこかで恥ずかしさとかあって口を大きく喋ってみたりするのが恥ずかしくて」

歌のテーマは「つながり」。
聞こえる世界と聞こえない世界を手話とダンスでつなぎます。

【阿部裕彦さん】
「聞こえないけれど踊る。彼らがやっているのはできないとされていること。苦手とかこれできないんじゃないかとか思うこと世の中いっぱいる。それをできるやってみることが大事と楽しそうにやっている彼らを見るとすごくいろいろな人にメッセージが伝わると思う」

現在、里さんと川越さんはプロのダンサーを目指しながら尼崎市で働いています。

職場で耳が聞こえないのは2人だけ。仕事のやり方は、ダンスと同様目で見て覚えました。

【2人を指導する杉本千賀子さん】
「とてもみんなから好かれていますよ、人気者です。2人ともユニーク、すごく愛嬌を振りまいてくれるし彼らに助けられているということはたくさんある」
障害のあるなしも、世代も、異なる職場。中には手話を学ぶ同僚もいます。
【2人の同僚・山本直樹さん】
「相手がどう思っているかはやっぱりわかりたいと思って松本さんとか里くんに手話の先生として教えてもらった」
言葉が通じなくても心を通わせることができる。彼らはそれをダンスで表現しています。

彼らの「言葉」で伝えたい 手話を学生たち
練習を重ねるうちに学生たちにも変化が生まれ始めました。
【神戸医療未来大学・仁野村蓮夏さん】
「好き」「大好き」「大嫌い」(手話)

聞こえない彼らの「言葉」で思いを伝えようと練習の合間に少しずつ手話を学んでいます。
【神戸医療未来大学・大山楓子さん】
「手話で喜びを一緒に分ちあうことが増えたら」
【神戸医療未来大学・仁野村蓮夏さん】
「自分たちの知らない世界が見えた感じ。どんどんもっと知っていきたい」

手話とダンスでつながる 聞こえない世界と聞こえる世界
手話言語の国際デーにあたる9月23日。小雨が降る中、福崎町でダンスイベントが開かれました。
里さんや川越さんが制作に携わった楽曲「LINK」も披露されました。

♪「LINK」
Dance with me!! 一緒に踊ろうよ
音のない世界から 君に届けるよ
Dance with me!! 一緒に歌おうよ
音のある世界から 君が届けてよ
同じ世界で奏でよう

聞こえない2人と聞こえる2人。その心をつないだのは彼らの「ダンス」でした。
【川越裕司さん】
「僕たちの手話ダンスを見た人たちが拍手したり笑顔になってくれているのを見てうれしかった」
【里勝弘さん】
「大学生の2人とは初めて出会って手話はまだまだだけどダンスをいろいろ教えたり、手話ダンスを一緒に踊ってとても仲良くなれてよかった」

声は聞こえなくても、届けられる思いがある。
彼らのダンスは、聞こえない世界と聞こえる世界をつなぐ架け橋であり続けます。

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