【阪神】岩田稔氏が新著、1型糖尿病との闘い

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  • 岩田稔著『消えそうで消えないペン』

  • サンテレビで解説する岩田稔氏/甲子園球場

■引退に子供たちは

阪神タイガースの主力投手として活躍し、昨季で現役引退した岩田稔氏が9月に著書『消えそうで消えないペン』(ベースボール・マガジン社刊)を発表した。

この中で、現役引退や1型糖尿病との闘い、今後の活動などについて思いをつづっている。

岩田氏は2021年シーズン終盤に球団から戦力外通告を受けた。著書によると、通告に岩田氏は動揺することなく、自然に感謝の言葉を球団側に伝えたという。
その夜、岩田氏は中学生と小学生の子供たちにも現役引退を伝えた。

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「『父ちゃん、野球、やめるわ』
決意を固めた夜、子供たちをリビングに集めて、これまでにないほど真面目な表情で伝えました。
それなのに、3人の子供たちは『やめるんや』『そうなんや』とサラッと笑い飛ばすだけ。こちらはもう拍子抜けです」
(『消えそうで消えないペン』より)

■1型糖尿病と生きる

岩田氏は大阪桐蔭高2年時に「1型糖尿病」を発症した。著書によると、高校3年の夏、ある大企業の社会人野球チームから内定を取り消された。

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「原因が高校2年冬に発症していた1型糖尿病であることは明らか。
『ちゃんと野球ができているのに、なんでやねん!こんなん絶対におかしいやろ!僕の人生、どうなるんですか!』
当時は理不尽な現実を受け止め切れず、ショックのあまり周囲に当たり散らしました」
(『消えそうで消えないペン』より)

岩田氏は常に血糖値測定器とインスリン注射器を持ち歩き、1日4回インスリン注射を打たなければならない。

著書の中で岩田氏は、1型糖尿病は、生活習慣病である2型とは異なると強調。
誤解を避けるためにも、“インスリン欠乏症”といった新しい名称に変えることを提案している。

■印税は患者のために

2020年10月1日、岩田氏は甲子園での中日戦に先発。
6回3分の2を無失点で抑え、454日ぶりの勝利を挙げた。この勝利が現役最後の白星となった。

試合後のお立ち台で岩田氏は、「ちょっと恥ずかしいんですけど」と前置きし、
「消えそうで消えないマジック(ペン)みたいなのが、岩田稔だと思っているので…」と語った。
このインタビューはサンテレビでも生中継した。

その時の言葉が著書のタイトルになっている。

岩田氏は引退後、「株式会社Family Design M」を立ち上げ、オンラインサロンの開設など1型糖尿病の啓発に取り組んでいる。

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「お金持ちになりたくて会社を立ち上げたわけではありません。
1型糖尿病の啓発活動を加速させたい―。
人生を懸けた大目標を持っているから、
大概の困難であれば乗り越えようと心を奮い立たせることができるのだと思います」
(『消えそうで消えないペン』より)

なお著作の印税について岩田氏は「1型糖尿病の皆さんのよりよい未来のために使います」と話している。
(浮田信明)

[岩田稔…1983年生まれ。大阪府出身。大阪桐蔭高-関大を経て、2006年「希望枠」で阪神入団。背番号「21」を16年間背負った。2009年にWBC日本代表。通算成績60勝82敗。現在は野球解説者として活躍する一方、1型糖尿病の啓発に取り組む]

 

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