神戸市東灘区のお寺では、去年7月から高校生が子ども向けの学習会を開いています。
まさに現代版「寺小屋」の発起人となった高校生の素顔と活動にかける思いを取材しました。
神戸市東灘区にある西方寺。
江戸時代に創建された歴史あるこの寺で、休日の午後、真剣な表情で勉強をする子どもたちの姿が見られます。
地域の小学生や中学生、それにその兄弟で幼稚園に通う子どもも集まる無料の学習会。
名前は、「みんなのLuckField(ラックフィールド)」です。
立ち上げたのは、神戸市立葺合高校3年生の吉野花さんです。
運営している仲間は、全員、高校生です。
吉野さんは、小学4年生のときに、ユニセフ親善大使として活動する黒柳徹子さんのエッセイや本を読んで「貧困」の問題について関心を持つようになったと言います。
高校生になったときにはこんなエピソードも・・・両親を説得するべくパワーポイントを使って「高校生にとってなぜスマホが必要なのか」要点をまとめプレゼンする実行力の持ち主です。
吉野さんは学習会を立ち上げるにあたって、地域の寺を2軒、3軒と回り、西方寺にたどり着きました。
なぜ「寺」にこだわったのか。
それは、「信頼」と「安全」を兼ね備えていると考えたからでした。
しかし、活動開始に至るまでには、何度も壁にぶつかりました。
「高校生」だからこそできることがあると意気込んでいた吉野さんにとって超えられない「責任」という壁。
吉野さんの両親と、住職夫婦が顧問として活動を見守ることで実現に至りました。
学校に行きづらさを感じている子どもも預かっていて、学ぶ楽しさを知ってもらうとともに子どもたちの居場所でもありたいと考えています。
学習会が始まっておよそ1年。
今では活動を支える高校生の仲間も増え、子どもたちも平均して10人は集まるようになりました。
子どもたちの笑顔のために立ち上げた「みんなのLuckField」。
吉野さんは東京の大学を目指していますが、代表として裏方の仕事を続けながら後輩に引き継いでいきたいとしています。