バリアフリー化に課題 踏切道 安全対策の現状

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ことし4月。奈良県大和郡山市内の踏切で、近くに住む目の不自由な50歳の女性が電車にはねられ死亡する事故がありました。

踏切の直前には注意を促す点字ブロックがありましたが、経年劣化で摩擦や損傷が見られ、女性は自分が踏切内にいると認識できなかった可能性があると考えられています。その後、視覚障害者団体は安全対策の徹底を求めて奈良県に要望書を提出しました。

事故を受け国土交通省は、踏切道での安全対策に関するガイドラインを改定。 「踏切内に凹凸のある誘導表示を設置すること」を望ましい整備内容として位置づけました。

兵庫県伊丹市。 8月、市は阪急新伊丹駅北側の踏切に視覚障害者を誘導する点字シート=エスコートゾーンを兵庫県内で初めて設置しました。

点字シートは一枚45センチ四方で白色、踏切手前の点字ブロックと突起の並び方が異なります。また、歩道の中央から少し左寄りに設置されていて、車道との間に車いすが通れる幅も確保されています。

点字シートの感触を確かめた伊丹市視覚障害者協会の高瀬静嗣会長(74)は「踏切内のエスコートゾーンの設置を全国でもっと広げてほしい」と話します。

国土交通省近畿地方整備局によりますと、近畿エリアで踏切内のエスコートゾーンが設置されているのは、わずか6カ所。 ガイドラインでは踏切の内と外が分かるようブロックを異なる形式にするよう求めていますが、具体的な構造や規格は定められていません。

また、費用については道路管理者と鉄道事業者が協議することになっていて、どちらが主体的に整備するかは明確になっていません。伊丹市によりますと、今回の費用はおよそ100万円だったということです。

一方、兵庫県内ではいわゆる「開かずの踏切」など緊急に対策の検討が必要な踏切が71カ所あります。

尼崎市東七松町の三反田踏切。 朝のピーク時の遮断時間は1時間で45分に及び、直近調査の5年間で4回の交通事故が発生した「事故多発踏切」とされています。

国土交通省のまとめでは、県内で緊急に対策の検討が必要な踏切の内、43カ所はまだ具体的な対策の検討さえ行われていないということです。

危険な踏切を変えていくためには鉄道会社や自治体に加え、警察や地元の人など、多くの関係者による調整が必要です。 踏切の安全を守るために管理者と利用者、双方の意識が問われています。

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