ウクライナ侵攻から半年 両国の女性が願う平和

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無邪気に遊ぶ母と息子。ウクライナ出身のオルガ・クトバさん(40)と、2歳のレブちゃんです。

オルガさんたちは、ことし4月、首都・キーウから避難し、神戸の市営住宅で暮らしています。

もともと日本に興味があり、オルガさんは日本語を少し話すことができます。

【オルガ・クトバさん】
(子どもが)体が慣れるまでちょっと大変でした。風邪、ずっと咳。(日本は)全然違う天気 本当に1カ月なかなか治らなかったから心配した。今は大丈夫、もう慣れたみたい。

2月24日に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻。ウクライナではこれまでに5500人が死亡していて、戦争の長期化は避けられそうにありません。

2月以降、ウクライナから日本に避難してきた人は8月24日時点で1715人、そのうち兵庫県では85人が暮らしています。

日本に来て4カ月、レブちゃんの保育園も決まり、オルガさんたちは新たな暮らしの基盤が整いつつありますが、キーウに残った夫のアンドリーさんにはいつ危険が迫ってくるか分かりません。

【オルガ・クトバさん】
今は私、日本でいる時 素晴らしい時間です。それは分かっています。でも100%エンジョイできません。いつもウクライナの事考える、家族は一緒がいい。

オルガさんは、日々、祖国ががれきの街と化していくニュースに心を痛めています。

【オルガ・クトバさん】
私、今ちょっとニュースを(見るのを)やめた。見たらすぐ元気をなくすがなくす、気分が悪くなる、心配になる。私は子どもと2人だから、元気がないとだめですね 悲しんでいるお母さんはだめです

それでも、一人の母として気丈に振る舞い続けます。いつかキーウに帰る日を夢に見ながら。

洲本市に住む、ロシア出身の太田イリーナさん。夫の直也さんと2人、おととしからキッチンカーで淡路島内を周り、自慢のロシア料理を販売しています。

【太田イリーナさん】
冬になるとボルシチとか、いろいろ出てくるから 淡路島のビーツを使って作ったり、肉も淡路牛を使ったり、できるだけ淡路島の材料にこだわってやってます。

ウクライナ侵攻の開始後、営業に支障が出る心配もありましたが、戦争反対の意思を掲げて店を続けてきました。

【イリーナさんの夫・直也さん(51)】
最初のころはお店出すのちょっと怖いなと思った。
-飾っている毛糸でできたロシアとウクライナの国旗は?
そう、ある日突然準備をしているところをわざわざ裏から(持ってきてくれた)

【太田イリーナさん】
わざわざそのことを考えながらずっと時間をかけて作ってくれて、その気持ちを込めて持ってきてくれて感動しちゃった。ずっと飾ってるんです。

ロシアには両親や兄妹が暮らしていますが、母は政府によるプロパガンダに洗脳されてしまったと言います。

【太田イリーナさん】
半年経ちましたけど、私の家族ではお母さんの立場は変わらない。こっちは何を言っても変わらないですし、お母さんもいろいろ言われるとストレスで血圧が上がったりしてもかわいそうだから、できるだけ触れないようにしています

イリーナさんは自分の無力さを感じながら、終わりが見えない現状を嘆いています。

【太田イリーナさん】
もう半年か、って感じですね。人間は慣れるもんだなとか思いながら、自分も怖いんですけど。今のロシアの人たちって、プロパガンダに負けているのは特別な人だからではなくて、プロパガンダがそういうものだから。今ロシアで起きていることはどこでもあり得るから、ロシアで起きていることで何が勉強できるかというのを一番気付いてほしい。

ウクライナとロシア、2つの国からやってきた女性たち。

【オルガ・クトバさん】
ここは空がきれいね、ミサイルもない。心配することがない。家族に会いたい、旦那さんに会いたい。戦争終わり、それで全部よくなります。

1日でも早く戦争が終わりますように。2人の思いは同じです。

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