ハンセン病の差別偏見の歴史知って 尼崎市で医師が講演

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ハンセン病への理解を深めてもらおうと、岡山県にある国立ハンセン病療養所に勤務していた医師が尼崎市で講演会を開きました。

この講演会はハンセン病になった人たちが受けた差別や偏見の歴史を知り、理解を深めてもらおうと尼崎市などが企画したもので、岡山県にある国立ハンセン病療養所邑久光明園で勤務し園長を務めた医師の畑野研太郎さんが講師を務めました。

ハンセン病は「らい菌」によって末梢神経がマヒする感染症です。感染力も弱く現在の環境では感染することはほとんどありませんが、当時は、後遺症や症状が外見に現れることから患者は強い偏見と差別にさらされました。

5日の講演会で、畑野さんは療養所での暮らしや患者が強制的に収容された背景にふれ「ハンセン病問題とはハンセン病自体ではなく取り巻く社会、私たちの問題だ」と語りました。

【国立ハンセン病療養所で園長を務めた畑野研太郎さん】
「ハンセン病の元患者は病気という理由で様々な縁を断ち切られた人たち。家族との縁や自分のコミュニティーとの縁や社会一般との縁、自分の可能性との縁、自分の未来や子孫との縁を奪われた人たちなんです」

講演を聞いた人は「家族と一緒にいる。好きな人といる、友達と遊ぶ。そういう基本的なことが奪われるって本当に誰がそれを侵してもいけないことだしすごく憤りというか怒りがこみ上げてきます」「知らないことだらけだったのでもっともっと知ったうえで人にも説明できるようになりたいなと思いました」などと話していました。

会場では元兵庫県職員の古林海月さんが邑久光明園などの入所者への聞き取りをもとに描いた漫画「麦ばあの島」のパネル展も9月30日まで開かれています。

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